さて、仕事も少し慣れてきたころ、私は住む場所を変えた。
ベトナムに限らず、外国、国内でもちがう土地に行けば、
そこで生活する人々や生活そのものを体験したいという欲求があった。
ホテル住まいは広いし清潔だし、エアコンも水道もコンロも使い放題、
快適であると同時になんの刺激もなかった。
現地でできた友人に頼み、庶民の生活ができるところに部屋を借りることにした。
庶民というか、あんな刺激的な生活は、きっともうできないだろうというくらいの最高の日々。。。
新しい住まいは、裏にサイゴン川の細い支流が流れるトタン屋根の長屋の角部屋。
ブロックを積み上げ、セメントを塗った壁にトタンをのっけただけの、6~7畳くらいの空間。
床はコンクリート、ドアもトタン、ドアの横に木枠の窓、ガラス無し。
天井の空間は隣に筒抜け、部屋の奥の角に小さな排水溝の穴ひとつ。
以上。
蛇口なし、トイレなし。電気は蛍光灯一本。コンセントはあったな。
どうやって生活をするのかと聞くと…
トイレ(小)と炊事、洗い物、洗濯などは、その隅っこの排水溝を使う。
水は、大人が一人すっぽり入れそうな赤いポリバケツを購入、
その排水溝の横に置き、大家さんの家からホースをのばしてきてそのポリバケツ満タンに水を入れてもらう。
これが一杯4000ドン(当時約33円)。
プラスチックのひしゃくをポイっと放り込んで、
この水を、炊事にも、食器洗いにも、洗濯にも、水浴び(シャワー?)にも、トイレのあと流すのにも使う。
トイレも小の後はトイレットペーパーは使わず、その水でちょちょいと洗うのがベトナムスタイル。
水を汲む時以外は蓋をするけど、最後のほうになるとゴミも溜まるし、
ボウフラもわいて、さすがにご飯つくるのには使えなかったな。
トイレをするにも水を浴びるにも入り口から丸見えなので、
目隠しに板を一枚張って、いざスタート!
