今日はおやつに食べるhot vit lon(ホビロン)という卵の話です。
hot=卵、vit=アヒル、lon=羽化・孵化、
という文字の通り、孵化直前のアヒルの卵のこと。
ゲテモノに分類されるだろうか?
私の中では、ベトナムのおやつランキング5本の指に入る、大好物だ。
調理法はいろいろあれど、
最もオーソドックスなのはシンプルに茹でていただく。
まず、お猪口のようなものに卵を立てる。
アルミのティースプーンの背で上部を軽く叩いてヒビを入れ、
スプーンが入るくらいの大きさにそっと殻を取り除く。
血管の通った膜が張っている。
ちょっとドキリとする(最初だけ)。
そこに塩と黒胡椒をスプーンの先端にちょっとつけて、
膜の中にはいっているスープをつついて味を馴染ませ、
卵を手で持ってクイッと飲み干す。
上品な旨味たっぷりの液体が喉に流れ込む。
こぼれるものがなくなったので、
周囲の殻をもう少し割り取って穴を広げる。
そこに入っているのは、白身、黄身、とろけるような肉。
血管に覆われているが気にしない。
また塩胡椒をツンツンと入れて、
チッとレモンを搾り「身」を掬って食べる。
優しく複雑な味わい。
そこにタデ科のハーブrauramをわしゃっと口に入れ、一緒に咀嚼する。
キレのよい強い香りと爽やかなシビれが相まって、
細胞が一気に目覚める感じだ。
受精からの日数により、その内容は若干変化する。
日が浅ければ、スープつきのほぼほぼ卵。
しかし、日が経ち過ぎてしまうと、
あら羽だ、あらクチバシが引っかかる、となってしまう。
白身の部分もカッチコチで旨味はほぼない。
ハズレのない店との出逢いが重要だ。
日本から友人知人が遊びに来たときは、必ず勧めた。
皆怯むし怖がるが、
私を訪ねてベトナムまでやってくる面々は好奇心も全開なはずなので、
まずは夜の暗がりで血管など確認できない場所で
スープと一口目を体験してもらう。
その後は、皆放っておいてもぱくぱく食べる(笑)
美味しいからだ!