ドラマ軸での同棲時期❤️もといウンスが迂達赤になって隊長の部屋で過ごすようになった時の一幕です。
完全無欠の隊長だって好きな女人と同衾すればただの男になり下がるのでは?という妄想から生まれたお話。
チェ・ヨン氏のイメージを著しく損なう恐れがありますのでイメージを崩したくない方は回れ右
どんなヨンでもどんとこい!!と言う方はどうぞお進みください
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役目を終え、便殿を後にする。
篝火が焚かれた回廊を抜けて外に出た瞬間、冷たい空気が肌を刺す。息を吸い込むと冷気が肺に入り、体の中まで凍りつくようだ。
白い息を吐きながらヨンは足を迂達赤兵舎へと向けた。
あの方が待っている。
そう思うと心は急いた。
宿直に立つ隊員たちの挨拶もそこそこに足早に部屋へと戻る。
……というのは数日前までの話で、ここ数日、部屋に戻るヨンの足取りは少々重くなっていた。
扉の前で一つ息を吐いてから部屋の扉を開ける。
「戻りました」
「お帰りなさい」
告げられる何気ない一言。
その一言が何よりも尊い。
柔らかい笑みと明るい声で出迎えてくれるウンスに、冷えた体とは逆にじんわりと心が温かくなった。
己の帰る場所にあの方がいて、笑顔で迎えてくれる。それだけで心が安らぎ、疲れが吹き飛ぶようだ。
楽な格好に着替えるため鎧を脱ごうとするとウンスはヨンの後ろに立ち、鎧の背紐を解くのを手伝ってくれる。
最初の頃は紐を解くにも手間取っていたウンスだが、今では慣れた手つきで紐を解いていく。
触れた鎧の冷たさに驚きの声をあげながら、鎧を脱がせてくれるウンスに口元が緩む。
鎧を置き、上着を脱ぐ。
ウンスはその上着を受け取り、代わりに部屋着を手渡してくれる。受け取った衣はほんのりと温かい。
ウンスは部屋に置かれた火鉢で暖を取りつつ、ヨンの服も温めておいてくれていたようだ。
「温めておいたのよ。あったかいでしょ?」
「はい」
温められた上着に袖を通しながら、ウンスの心遣いに感謝しながら同時にこそばゆい気分になった。
ウンスは寝支度をしながら解毒薬の進捗やその日の出来事をヨンに聞かせた。
ヨンはウンスをじっと見つめたまま、その心地の良い声に耳を傾けていた。
ウンスと過ごす時間はヨンにとってかけがえのない時間だ。
キ・チョルや徳興君の動向やウンスの解毒薬のことなど考えなければならないことは多々ある。
上手く立ち回れないもどかしさが胸に迫るが、ウンスと共にいる時だけはその心も穏やかになった。
「テジャンは?何もなかった?怪我とかしてない?」
「ええ」
「体調は?」
「問題ありません」
「脈だけ診せて」
ヨンは言われるままウンスに腕を差し出した。
ウンスはヨンの手首に指を当て、目を閉じて脈診に集中する。
しばらくしてウンスが目を開け、指を離した。
「うん、問題はなさそうね。けど、何かあったら腕の良い主治医にすぐ言うのよ。わかった?」
「はい」
こうしてウンスは話が終わると、必ずヨンの体調を確認して脈診をすることが日課になっていた。
話を終え、寝支度も済ませたウンスは先に寝台に入った。
「う〜、寒〜い!!」
布団に入った途端、ウンスはふるりと身を震わせた。
「テジャン早くきて。貴方で温めて」
閨に誘うような言葉にヨンの心臓が大きく音を立てる。
そういう意図で言っているわけではないことは重々承知だが、男としてはたまったものではない。
それが惚れた女人の口から出たなら尚更だ。
ヨンはウンスに気づかれないように小さく息を吐くとウンスが待つ寝台へと入る。
ウンスが奥の壁際に身体を寄せ、その隣に身を横たえる。
ヨンが横になるとウンスはぴたっと寄り添ってきた。
衣越しにウンスの柔らかい肌の感触が伝わる。
これがここ最近のヨンの悩みだった。
✳︎
数日前から降り積もった雪により寒さがより厳しさを増した。
ヨンにとっては例年と変わらぬが、天界の便利な防寒具で育ってきたウンスにとって開京の冬は厳しすぎるようだ。
ウンスは特に寒がりなようで、例年使っているものよりも大きな火鉢を入れたり、掛け布団を増やしたり、温石を与えたりと防寒をしてきたが、それでも寒さゆえに寝付けぬ日が続いているようだった。
その日もウンスは布団を頭まで被り、自分の息で手を温めていた。
「眠れぬのですか?」
「え?あ、うん。ごめん、起こしちゃった?」
「いえ。寒いのですか?」
「うん……ねえ、もっとくっついても良い?」
二人の間には少しだけ隙間があった。
それはヨンなりのけじめだ。
恋い慕い合う女人と言えど、気軽に触れてはならぬ方だ。今はまだ王様の庇護下にあり、俺のものではない。
何かあってはならぬとこれまでは少しの距離をとっていたが、寒さに震えるウンスを見兼ねてヨンは頷いた。
ウンスは嬉しそうにヨンに身を寄せてきた。
それからおずおずと細い腕をヨンの腹に回し、柔らかい体を押し付けてくる。
「ふふ、あったかい」
「……」
(くっつくだけではなかったのか?)
ウンスの「くっつく」とヨンの「くっつく」ではだいぶ認識に差があるようだ。
「ねぇ」
「……何です?」
ヨンは顔だけを動かしてウンスに問いかけた。
「ぎゅっと抱きしめて」
回された腕に動揺していたヨンはさらにウンスの口から発せられた言葉に身を固まらせた。
「だめ?」
上目遣いに見上げてくるこの方。
如何して否と言えようか。
ヨンはウンスの身体に腕を回してそっと抱き寄せた。
ヨンの胸元に顔を埋めてウンスは笑った。
「もっとあったかくなったわ」
「……」
何も言えずしばらくそうしているとウンスからは規則的な呼吸が聞こえてきた。
✳︎
その日以来、二人は間に距離はなくなった。
だがそれはヨンにとってある意味、試練の始まりだった。
(……俺は忍耐力を試されているのか?)
己に寄り添い無邪気に眠る愛しい存在。
すぐそばにある身体から薫る甘い匂いに目眩がしそうだ。
起こさぬよう気を配りながらウンスの身体を離そうとするが、ウンスは逆に離れるものかというようにぎゅっとしがみついてくる。
起きているのではないかとウンスを見るも、ウンスからは安らかな寝息が聞こえてくる。
「ん…」
鼻を抜けるようなウンスの甘い声。
そしてしがみつかれている右腕に感じる、己にはない柔らかい感触。
自分の身体の一部が意図せず熱を持ち始めるのをヨンは自覚した。
好いた女人の香り、体温を間近に感じられることは通常であればこの上ない幸せなのだろう。
だが今のヨンにとっては拷問のような時間だった。
さらにヨンを困らせているのはそれだけではない。
残念なことにウンスの寝相はあまりよくない。
起きている時だけではなく、寝ている間も大人しくしていることができぬようだ。
時には体に足を乗せられ、時にはその足を絡めてくる。
それが時折ヨンの大事な部分を刺激してくるのだ。
その度にぐっと奥歯を噛んで吐息が漏れそうになるのを耐えた。
(くっ、これが生殺しというやつか……)
この方は男が如何なる生き物か知らぬだろうか?
俺とて男だ。
惚れた女人と寝台を共にして、柔らかい肢体を押し付けられれば、体は反応する。
全てが終わるまでは我慢だと、こみ上げてくる欲望を鋼の意思で押さえ込む。
この方は俺のそばにいる、と言うてくれた。
今日、明日だけではない。一生だ。
今ではない。
大事にせねば。
ヨンは一向に治まる気配のない熱をもて余しながら理性を総動員させ、己にしがみつく華奢な体に腕を回して無理やり目を閉じた。
おしまい♡
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小悪魔ウンス。
無意識無自覚にヨンを煽ってます(笑)
ウンスは結構寝相が悪いと私は思ってます。
23話のシナリオに
「ウンスが寝台の隅でほとんど落ちそうになりながら横になって寝ている」
ってあるんですよね。
それをヨンが内側に押しやろうとするけど、ウンスが寝返りを打って元に戻る的なシーンがシナリオには書かれていて、それから私の中ではウンスは寝相の悪い子設定です(*´ω`*)
新婚編を楽しみにしてくださっていた方には短編で申し訳なく…
新婚編に行き詰まり、すぐに投稿できそうな短編を先にお披露目させていただきました。
