シャープは消滅するのか? | こむぎブログ~猫とコンピュータ~

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3匹のお姉ちゃん猫と3匹の弟分猫たちの日常と6匹の猫たちが登場する変な猫マンガ。
そして昔のパソコンあれこれ。

このブログで書いているコンピュータ関連の記事で、過去にシャープ製のパソコンや
ポケットコンピュータなどを紹介してきました。
パソコン黎明期の1970年代後半~1980年代において、日本のパソコン御三家として
NEC、日立といったコンピュータ専業メーカーと並んで、家電メーカーであるシャープが
そこにありました。

パーソナルコンピューティングという文化は、アメリカと日本、そして欧州で時期を
同じくして生まれたのですが、アメリカと欧州が、いわゆるベンチャー企業がPCを
創りだした…当時はあのアップルでさえガレージメーカーでした…に対して、日本では
NEC(日本電気)、日立、富士通といったコンピュータ専業の大手企業、そして
シャープのような家電大手がPCを作り販売していました。


【シャープ製パソコン MZ-80K2(1979年発売のMZ-80Kの廉価版)】

大手家電メーカーとは言え、シャープはそのグループの中では最下位に属しており、
失礼な言い方ですが、私自身もシャープは二流メーカーというイメージを持っていました。

しかしパソコンという、最先端の技術の結晶とも言える商品を、他の家電メーカーに
先駆けて発表したことで、私のシャープという企業へのイメージは大きく変わりました。
後に知ることになったのですが、シャープは世界初の電卓を開発し、それを足がかりに
コピー、FAX、ミニコンピュータなどのOA機器を開発販売していたので、実はパソコンを
自社で開発し販売する地力はあったのです。

MZ-80開発物語 …シャープ初のパソコンMZ-80を設計したエンジニアの方のブログです

私が初めて自分のコンピュータを手にしたのは1980年に発売されたシャープのポケコン
(ポケットコンピュータ)PC-1210です。


【PC-1210…4ビットCPU,メモリ1KB,24文字×1行の液晶ディスプレイを搭載】

電卓のようですが、れっきとしたコンピュータで、BASIC言語を搭載し、文字表示のできる
液晶ディスプレイなど、当時の最先端技術が詰め込まれていました。

今となっては単なる消費財となってしまったパソコンですが、1980年代は夢の計算機であり、
電機メーカーは自社の技術力をPRするために、最新の技術を惜しみなく新しいパソコンに
投入していきました。

シャープのパソコンは、家電メーカーとしての強みを活かし、テレビとの融合を実現した
パソコンテレビX1シリーズが大ヒットし、多くのファンを生み出しました。
後にX1とその後継機X68000を購入した私もその一人であり、以後、WindowsノートPCの
メビウスまでシャープ製のパソコンを使い続けていました。

当時のシャープは非常に面白い商品を次々と作っていて、ダブルカセットのラジカセや、
ファミコン内蔵テレビ(画像が非常に鮮明でした)や、液晶表示の日本語ワープロなど、
いずれもヒット商品になっていきました。
面白い商品を創る企業としてのシャープにも興味を持ち、「日本のエジソン」と呼ばれた
創業者の早川徳次さんの生涯に感銘を受けました。

以前の記事でも書いたのですが、このブログの猫マンガに登場するモンフチ電機会長の
紋縁さんは、早川徳次さんをモデルにしています…が、猫バカではなかったと思います。
「経営の神様」松下幸之助さんとは、生涯に渡りライバルであり、盟友であったそうです。

山形apron …シャープを創った男「早川徳次」
↑こちらのブログでは、シャープ創業者、早川徳次さんの生涯を紹介しています。
お時間があったらぜひ見てください。ほかにも本田宗一郎さんはじめ日本の発展の
礎を築いたのは人たちを紹介しています。

そのシャープが資本金を1億円にまで減資し、税法上の中小企業になると報じられました。

シャープが中小企業に?資本金1億円への減資検討 …朝日新聞DIGITAL

色々な憶測がネット上でもされていますが、このままシャープは事業部ごとに解体されて
他社への売却・精算が進められ、2年以内に消滅するとも噂されています。

2001年に発売開始となった液晶カラーテレビAQUOS(アクオス)の大ヒットで、シャープは
悲願であった国内テレビシェアNo.1を達成し、売上高も急上昇しました。

第4代社長の町田勝彦さんは、かつてブラウン管を自社生産していなかったシャープは
カラーテレビがブームの時代に、他社に頭を下げてブラウン管を売ってもらっていた。
今度はシャープにしか生産できない大型液晶を、他社が頭を下げて買いにくるんや。
と言ったそうです。町田社長の時代からシャープは変節したようです。
「選択と集中」の模範例としてマスコミももてはやした大型液晶への巨額の投資が
始まりました。今となってはこれがシャープの終わりの始まりだったのでしょう。

大きな成功体験がすべてを狂わせたというのは結果論でしかありませんが、たしかに
今思えば、この頃からシャープから魅力的な製品が出なくなったように感じます。

上手く育てていけばiPhoneに匹敵する存在となったであろうザウルスの終了、
超軽量モバイルノートPCとして人気のあったメビウスの自社開発の中止、
オーディオマニアから注目を集めた1ビットアンプAuvi(アウヴィ)の終了、
基礎研究の分野でも、非ノイマン型コンピュータやバイオコンピュータなどで注目を
集める発表をしていたのですが…。

早川徳次さんの思いが込められたシャープの経営理念には
「いたずらに規模のみを追わず…」との一文があり、経営信条は「誠意と創意」です。

理念に反し、世界最大の液晶パネル工場に巨額の投資を行い、それが失敗し、
一時期の会社の急成長でおごりが出たことで同業他社や協力業者への誠意を無くし、
液晶テレビへの「選択と集中」で基礎研究や新商品の開発という創意も失われ、
シャープの企業再生の道は非常に厳しいと思います。

しかし、シャープが消滅したとしても、早川徳次さんは障がい者のための就業施設や
障がい児のための保育園、高齢者のための介護施設を作っていました。
これらの社会福祉法人は今なお早川さんの理念を守り、堅実な経営を続けています。

これこそが早川徳次の遺したかったものだったのでしょう。


※あいかわらずコメレスが遅れていてごめんなさいm(_ _)m
 明日も更新の予定です。

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