ニュー・アトランティスは海の底に没するのか | こむぎブログ~猫とコンピュータ~

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3匹のお姉ちゃん猫と3匹の弟分猫たちの日常と6匹の猫たちが登場する変な猫マンガ。
そして昔のパソコンあれこれ。

今日は21:00からNHKスペシャルを、22:00からNHK教育を見ていました。
いずれも福島原発事故の特集です。

特にNHKスペシャルでは、福島第一原子力発電所での震災被災後からの一連の現場での対処や政府対策本部の対応など、今まで報道されなかった事実を報道していました。
あと出しで、原発事故が実はチェルノブイリ事故に匹敵する(放出された放射性物質の総量ではそれを上回る)事故であったと報道されても、おそらくそうなる最悪のパターンの予想はしていましたので驚いてはいないのですが、津波対策が非常に甘かったことと、全電源喪失の際の対応ができなかったこと、意思決定の遅滞など、改めて人災の様相が非常に強い事故だと再認識させられました。

思想家のフランシス・ベーコン(←Wikipediaへのリンクです)の著書、「ニュー・アトランティス」は400年も前に書かれたものですが、未来科学がもたらす理想郷を驚くほど正確に予言していました。

飛行機・ラジオ・テレビを予言していた学者は当時も多くいたので、これらは驚くには値しないのですが、
「遥か遠くにまで届く強烈な光」としてレーザーを、「水の中でも延々と燃え続ける石」として原子力を予言していたのは驚きです。
レーザーも原子力も20世紀を代表する科学技術です。

古代ギリシアの哲学者プラトンが著した「ティマイオス」に出てくる架空の大陸アトランティス(←Wikipediaへのリンク)は、優れた文明を持つ王国でしたが、神様の怒りに触れて、わずか1日で海底に没してしまいました。

そのアトランティスになぞらえた「ニュー・アトランティス」ですが、今の社会はベーコンが予言した未来科学技術がすべて現実のものとなった、まさにニュー・アトランティスです。理想郷とは言えませんが、それでも昔に比べるとはるかに豊かな暮らしをおくれるようになりました。

さすがに神様の怒りに触れて1日で海底に沈むようなことはないのでしょうが、文明の没落は始まるような悪い予感がしています。
今まではチェルノブイリ事故はまさに対岸の火事でした、しかし、今度は日本が当事者となってしまいました。放射能汚染の深刻な影響はこれから目に見える形で現れるでしょう。

ただ、このままあきらめるのと、新たな知見を得てこの難局を乗り越えるかとでは大きな違いが出てきます。
低線量長期間の放射線被曝による疾病の治療法の確立や、放射性物質除去のための新しい技術など、挑戦すべきテーマを国が設定し、研究者の支援・育成に取り組んで欲しいと思います。

難しいことですが、あきらめたらジワジワと海の底に沈んでいきます。このニュー・アトランティスも。