ジャッジ&チョイス61 | コラム・インテリジェンス

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透き通るような…心が…ほしい

 それが友情でも愛情でも、

 単なるビジネス・パートナーであっても、

 何かの行き違い、

 または何かが原因となって

 「別れ」なくてはならなくなった時に、

 

 彼または彼女との全時間まで

 否定してしまうような心情にはなれない。

 

 それはあまりにも原始的・幼稚的・

 子供っぽいとも思われなくもないのです。

 

 たった一つや二つの要因が

 引き金となって起きた「別れ」という現象の

 全体が否定されることはあってはならない。

 

 それでは学ぶべきことが

 あまりに少なくなってしまう。

 それでは学ぶことが

 あまりに偏ってしまうようにも考えられるのです。

 

「人生全体の直感的な評価は、簡単な冷水実験と同様ピーク・エンドに左右され、持続時間は無視される。」

(「ファスト&スロー」ダニエル・カーネマン)

 

 俗に

 「冷や水を浴びせられたような」

 という表現もあるように、

 どんなに暖かで心地よい

 快感を味わっていたとしても、

 

 突然冷水を浴びせられれば、

 それまでの時間が如何に長期にわたって、

 如何に長い間暖かく心地よい

 時間を体験していたとしても、

 

 ピーク・エンドが悪ければ、

 愚かな人間は持続時間を

 無視してしまうようです。

 

 ピーク・エンドに

 左右されるような人間にはなりたくないと考えられます。

 

「愚衆が犯す衆愚な評論として

『彼は躍起になって、高潔な人生という物語を維持しようとしていた。しかしながら、つい先日の不祥事で台無しになりそうだ』というスクープがありそうだ。」

(「ファスト&スロー」ダニエル・カーネマン)

 

 まさしく、ひとつのことで全体を、

 ひとつのことでその人全部を、

 理解したような、見抜いたかのような、

 愚かな判断が愚かな人たちによって

 なされてしまう場合もあるようです。

 

「彼(彼女)はアルツハイマーの症状を呈していて、もう人生の物語を覚えていない。それでも彼(彼女)の経験する自己は、やさしさや美しさに敏感に反応する」

(「ファスト&スロー」ダニエル・カーネマン)
 

 学術論文的文庫本には珍しく、

 この表現自体が、

 とてつもなく美しい文章であると思われます。

 

 カーネマンがここで語っている人物は、

 どうやらニーチェの永劫回帰を会得した

 “超人”であるのかも知れませんね。

 

 永劫回帰思想───

 ニーチェ「ツァラトゥストラ」───

 超人思想───

 

「ツァラトゥストラ12」

https://ameblo.jp/column-antithesis/entry-12666863604.html