「東大で一番読まれている本」とか
「ノーベル経済学賞受賞者の本」とか、
キャッチはたくさんあるようですが、
実際にココでずっと扱わさせて頂いてきている
ダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」は、
プライべートでもビジネスでもオールマイティー、
より良い決断への道筋を
示している実用書でもあると考えられます。
カーネマンの分析によると我々は、
直感的で感情に根ざす「早い思考」と
合理的で努力を要する「遅い思考」の相互作用で意思決定を行っているそうです。
ここまでは、「早い思考」を
カーネマンのシステム1として
「遅い思考」を
カーネマンのいうシステム2として
比較検討してきました。
ここからはさらに「21世紀の叡智」と称される
カーネマンの「ファスト&スロー」を
僕流にさらに
「ジャッジ&チョイス」してみたいと思っています。
我々の意思は、
どのように決まるのか?
「本書の読者なら、そうした直感が自信たっぷりに主張されることを十分見越しておかなければいけない。」
(「ファスト&スロー」ダニエル・カーネマン)
さすが超有名大学教授の経歴をもつカーネマン。
我々は彼の教え子で生徒、
我々はかの有名な名門プリンストン大学の
学生であると同時に、当コラムの仲間、
その我々は、“直感を自信たっぷりに主張”する人が、
拙い知識と経験で思考し、
そのシステム1によってのみ主張されたおバカな考察が、
ほとんどの場合エラーを引き起こすバイアスを繰り返す
おバカな人であることを、十分見越しておかなければいけない、そうです。
「“認知意思決定”モデルの高度なプロセスには、システム1とシステム2が関わっている。」
(「ファスト&スロー」ダニエル・カーネマン)
人間に本来備わっているシステム1と、
システム2を上手く組み合わせて認知し、
意思決定へと結び付けていく能力が、
近年どんどん劣化していることを
カーネマンは嘆いています。
「最初の段階では、連想記憶の自動運転すなわちシステム1により、試案が思い浮かぶ。」
ある状況に出会った時、
人間はまず自分の過去の経験と知識、
つまりは“連想記憶”を自動的に起動して
“連想”という思考の試案をすることになります。
カーネマンが度々取り上げるように、
おバカな人は、この段階ですぐに結論に、
結び付け飛びつき、自信たっぷりに
愚かな主張を始めてしまうようです。
この段階ではアタリマエに
システム1だけの“自動運転”で、
システム2はまるっきり運用されていません。
それにそもそも、
このような人の拙い知識と経験は
ほとんどチンパンジーの学習能力と意欲に匹敵するほどのものであるため、
ここでもエラー・バイアスが形成される要因が構築されてしまうようです。
「多くの人は、自分の持っているシステム2を起動させることさえ忘れ去っている。少なくとも、本書の読者には、このような愚かなエラー・バイアスを繰り返さないことを期待している。」
(「ファスト&スロー」ダニエル・カーネマン)