名言、格言とよばれるものには、
意外な落とし穴が潜んでいるのかもしれない。
たとえば、ニーチェ。
「自分を常に切り開いていく姿勢をもつことこそ、
この人生を最高に旅することになるのだ」
・・・たしかに。。。
それでも、それは、
「・・・だったらいいなぁ」の世界のような気もしないでもない。
そのような姿勢を持つことが簡単に、
しかも常にできるようなら、
人生の旅は、たしかに最高になるのかもしれない。
それがなかなかに、簡単に、できにくいからこその人生。
そこに、悩みや悲しみが伴ってくるらしい。
自分を常に切り開けない人は、どうすれば良いのだろう。。。
それはそれで、やっぱり、
その人にとっては、大切な人生に違いがない。
なにも人生を旅に置き換えなくとも、
ましてや、最高の旅になんか置き換えなくとも、
それはそれで、やっぱり、
その人にとっても、その人の周囲の人々にとっても、
かけがえのない人生にかわりはないような気もしないでもない。
自分を切り開かなくとも、
あるがままの自分を受け入れ、
そこから何かを見出したり切り開いていっても良いような気もする。
だいいち、自分を見直したり受け入れたりすること自体だって、
なかなかに難しいような気もしている。
あるがままの自分を受け入れるにしても、
その、あるがままの自分が解り辛い。
解り辛いのが人間であるような気もしているけど、
だからこそ、長年、
哲学者やら宗教学者、挙句の果てには心理学者から人類学者まで、
みんながよってたかって、ああでもない、こうでもない、などという見解を
述べまくっているのかもしれない。
なので、
ニーチェさんがなんと言おうが、
無理に、自分を切り開く必要もないようにも思われる。
そこで、無理に自分を切り開こうとした人は、
新たな苦悩と、新たな悲しみに見舞われることにもなりかねない。
ニーチェの落とし穴は、
皆がみんな、そこにハマるとも思えないけれど、
できることなら、
そこに落とし穴があるかもしれないということだけは、
オジさんの分際でさえ、注意しようと思っているのでした。