ブログを続けて書くのは、なかなか難しいことが分かった。

これは、2回目をすぐに続けられなかった言い訳。

 

今話題となっている女子医大の内紛。この話題だといっぱい書きたいことがある。

私は某大学に勤務して今や退職しフリーの身だ。だから言える。だれだって自分の身を守って生活しなければならないから、言えないことはあるだろう。私の立場だから明かせるのだ。

 

もちろん会社と大学は組織としては違うだろうが、現在東京女子医大で起こっている事は、ワンマン社長とか会長のいる会社でも起こり得る。ただし大学が会社と明らかにちがうのは、国から多額の補助金をもらっていることだ。納税者として、日本人はこれを見逃してはならない。

 

女子医大問題が問うのは、大学理事長は好きなように大学を運営していいか、好きなように予算を運用していいか、ということだ。それが出来ないようにたしかに組織は出来ている。でも、でも、そこを巧みに操縦して好きにやっている大学がかなりあるのはたしかた。私は医大ではないが、同様にワンマンな理事長のいる関東圏の私立大学でひどい目にあった。

 

私が勤めたことのある医療系大学(これは今では医学部を設立した大学)も理事長の思い通りに動く大学だった。人事はほとんど理事長の意向で決まり、昇任昇格も理事長の意のまま、理事長夫人もそれに加わりひどい専横。でも事務長や副学長などに文科省、厚労省の大物を迎えて、うまく立ち回っていた。今でもそうだろう。

 

私が体験したことの一端を明らかにしたい。この大学に助教授(当時の名称)として赴任した際、給与の提示はなかった。でも暗示された給与の3分の2くらい。不当だとは思ったが、働くしかないのでそのまま交渉もせず働いた。どうやら低い給与で有名な大学と後で知った。

 

かなり新しい大学だったためか、私が赴任してすぐ問題が始まった。まずは教員の徹底的な管理だ。管理はコンピュータにやらせ、コンピュータを大学で立ち上げると出勤、電源を落とすと退勤だ。会社勤務とは異なり、教員は自宅や外での研究が多いが、それは勤務時間に入らない。コンピュータのデータは東京の理事長夫妻が調べ上げる。教員を拘束することに喜びを感じていたのか。給与と紐づけようと思ったのか。

 

締め付けはより厳しくなり、勤務は週4日から5日に、夏季休暇も3日程度。学生のいない時も大学に毎日出勤せよ、海外での研究など論外というスタンス。ついには勤務体系自体の見直しがなされ、常勤の教員全員を専任教員と1年任期の教員に分けるという暴挙に至った。理事長側の思い通りになる人間は専任、それ以外の人間はとりあえず任期制に。いうことをきくなら専任だよ、と餌をちらつかせる。1年任期の契約書にサインを求められて、私はこれは不当だと怒りしか感じなかった。裁判も頭に浮かんだが、時間とお金を考えると到底割が合わない。ではサインせずに逃げ出そう。

 

それから教員の全国公募に手当たり次第に応募し、ついに逃げ出すことに成功。しかし最後の嫌がらせが起きた。私は勤務規定を熟読し、退職3か月前に申し出る、という項目をきちんと守ったにもかかわらず、理事長側からは2か月前にやめろと言われた。9月末に退職と申し出たが、やめるなら8月末だというのだ。こんな不届き者には1月でも給与を支払いたくないという、理事長夫人の差し金だった。明らかに労働基準法違反になるが、そのころは知らなかったし、逃げ出せればよかった。大慌てで研究室の蔵書等を次の勤務先に送り終わったころ、事務室からそれを撤回する旨の知らせが来た。だれかが法律に気づいたのかもしれない。馬鹿な話だ。

 

この顛末はまったく奇妙だとしか言いようがない。でも末端の教員に不当な権力の横暴がどう及ぶかを示している。東京女子医大の関係者からは、もっともっとひどい話を聞いている。医師は他に働き口があるから、不当ならば転職して問題を切り抜けられる。そして闘うのは避けるかあきらめる、だから理事長は安泰となるわけだ。私も不当な目にあっているのに、正面から闘わなかった。後悔する。もう時効だろうが、闘えば社会は良くなっていたかもしれない。

 

不当だと思っている人たち、ぜひ闘って。心から応援するし、大学人にはその責任がある。大学は象牙の塔ではない。公平で平等で民主的な言論の場であるべきだ。