ナチスドイツが破れ武装解除されたドイツですが、やがて東西陣営が対峙するいわゆる冷戦の時代に入って行きます、2次大戦が終わっても世界に武器の要らない平和は訪れませんでした。
東西冷戦に伴ない西ドイツ(ドイツ連邦共和国)は再軍備を始めます、今回は戦後ドイツのワルサーP38のホルスターです。
ナチスドイツ時代は多岐に渡った正式拳銃ですが、戦後の再軍備ではワルサーP38が採用されました、とは言っても戦前の物をそのまま再生産ではなく、生産性などを考え改良型が作られP38Ⅱとして生産されました、因みにナチスドイツ時代のP38のミリタリータイプのグリップはあの特徴的な横溝が入ったグリップでしたが、戦後のP38のミリタリータイプのグリップはコマーシャルタイプと同じチェッカーが入ったグリップになり、グリップでミリターリーとコマーシャルを区別する事は出来ません。
そのワルサーP38Ⅱをドイツ連邦軍(Bundeswehr ブンデスヴェーア)はP1として正式採用します、そしてそれを入れる為のホルスターが今回のホルスターです。

左のホルスターは黒革製で、前回紹介したドイツ空軍のHsc用ホルスターにどこか似ています、あの時、空軍用のホルスターは2種類在ると書きましたが、紹介した以外のタイプが、今回のP1ホルスターと造りが良く似ています。

陸軍タイプのソフトシェルホルスターは多分意図的に避けられたのではないでしょうか、どうしてもナチスドイツのイメージが強いですから、そしてナチスドイツ時代に左の腰に着けていたホルスターは戦後は右の腰に着けるようになります。

黒革ホルスターの蓋を開けてみましょう、Hscの時に外側にあった2本の革紐が内側に在ります、ホルスターの裏側にはベルト通しはありません、蓋と2本の紐の間にベルトを通すようなんですが、戦後ドイツ連邦軍の軍装は詳しくないので実際に如何装備するのかは判っていません、ネットで調べてもホルスターの写真は在っても着けている画像が出てきませんでした、ドイツ連邦軍の軍装をしている人には常識なのかもしれませんが、門外漢は分からないことだらけです。

ホルスターの裏側です、一番上の「BUND」はドイツ連邦軍(Bundeswehr ブンデスヴェーア)の略でしょう、その次は多分製造メーカー名と9/76と在るので1976年9月製造でしょうか?
一番下は「T.a.f Pist38Kal.9mm(W)」と刻印されています、最初の「T.a.f」は分かりませんが、次の「Pist38Kal.9mm(W)」は38ピストル口径9ミリ(西ドイツ)と言う所でしょうかドイツの口径表示はCalではなくKalと表記します、(W)は(WEST GERMANY)なのかなと?違うかな?
ところでこのP1用ホルスターは思い出のあるホルスターなんです、お店で買った物では在りません、以前、グアムへ射撃によく行っていた時に、顔見知りになった屋内射撃場のオーナーからもらったものでした、ソコのレンジではP1をルパンのP38だよ~と言って撃たせていたんですが、店内のディスプレイとしてこのホルスターが飾ってありました。
ドイツ連邦軍で使われなくなったP1はサープラス品(軍放出品)としてアメリカの市場に流れます、それをこのレンジが購入した物で、普通の人にはP38もP1も区別は付かないですからねW
放出時にホルスターと予備のマガジンがセットで売られていて、中身を取り出したホルスターが展示してあった訳です。
当時では(今でも?)珍しいP1のホルスターを見つけた私はオーナーに売ってくれるように交渉しました、オーナーは「次に来てくれた時にあげますよ」と言ってくれたので、次の訪問の時に無事頂いてきた物だったんです。
だからこのホルスターは西ドイツで作られ大西洋を渡り一旦アメリカ本土に行き、次に太平洋を渡りグアムを経て日本に来たホルスターなんですね。
だから愛着と言う意味ではP38のホルスターの中では一番あります、単にお店で買ったものではなく物語があるんです。
長くなったのでもう一つの迷彩柄のホルスターの話しは次回にしましょう。
続く。