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嘘と真実の狭間

幾度も、幾度も、貴方の肌に触れながら溢れんばかりの愛を囁くけれど。
私の瞳には、ただ優しく微笑み細い指先で毛先を撫でる貴方が映るだけ。




『愛してるの、貴方を』
「どうしたの?今日は甘えん坊だね」
『ねえ、答えて!?』
「暴れたら危ないよ」



何時も貴方ははぐらかす。
幾度も、幾度も、此の気持ちを有りの侭に伝えてるのに。



(ねえ――‐私の事、嫌いなの?)
 
 
 
 
 
 
 
ならば何故、貴方はずっと私と共に居てくれるのですか?
愛していないのなら、此の気持ちと共に私を捨ててくれた方が幸せなのに。


『私は貴方の何?』
「もう寝るよ」
『此れも答えてくれないの?』
「今日は一緒に寝ようか」
 
 
 
 
 
 
 
噛み合わない会話に、耐えきれなくなり部屋から飛び出した。驚いた表情を浮かべる彼を尻目に、洗面所まで駆け出す。


『何で?こんなにも私は貴方を愛して――‐ッ』
 
 
 
 
 
 
 
(嗚呼、だからなのね――‐)
 
 
 
 
 
 
 
姿見に移った真実に、私は納得と共に虚無感が込み上げてきた。いつの間にか追い付いた彼が優しく私を抱き上げる。


「君はやっぱり気紛れだね」




ゆっくりと、暖かな彼の腕に抱かれながら部屋へと戻る。どうしようも無い切なさに、私はただ彼の胸へ顔を埋もめた。
 
 
 
 
 
(神様、神様――‐)
 
 
 


「今日は一緒に寝るだろ?」
 
 
 
 

(どうかお願いします)
 
 

 
 
『……ニャアー』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(生まれ変わったら、今度こそは私を人間にして下さい)

愛しい貴方に、此の気持ちを有りの侭に伝えられるように。

二人で一つ

愛する貴方とずっと一緒に居たいから、とてもとても素敵な事を考えてしまいました。
 
 
 
 
――‐囁かれる愛の言葉なんて、所詮は愛くるしい唇から流れる雑音にしか過ぎない。

――‐私を抱き締める腕なんて、所詮は血と肉と骨が作った仮の肉体にしか過ぎない。



(私が欲しいのは貴方のココロ)
(そんな偽りは必要無い)


「ずっと一緒に居たい」
『一緒に居るよ』
「愛してる」
『僕も愛してる』
「死んでも一緒に居たい」
『ずっと離れないよ』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ヤクソクダヨ?」




先ずは繋いだ小指を切り落として、私の体に取り込みましょうか。突然の事に驚いてる貴方、流れる涙はきっと私と一緒になれる喜びからかしら?


「私も嬉しい、ずっとずっと貴方と一緒に居れるから」


貴方の赤を飲み干して、貴方の白を噛み砕き、貴方の涙を拭ってあげるから。


「約束通り、私と一緒に居続けてね?」
 
 
貴方の声が聞こえなくなった。
せっかくお喋りだけは出来るように、雑音を奏でる唇と偽りを留める耳は残して置いたのに。
 
 
「なら、勿体無いから此れも私の中に入れちゃうよ?」
 
 


 
 
 
 
 
 
私達は二人で一つ。
(貴方の温もりが、私の中から伝わる幸せに笑みが零れた)

硝子姫症候群

ピーターパンと一緒なんだよ、信じる人にしか見えない。
大人だからとかは言い訳にしか過ぎない、だって彼等は"純粋"な人にしか分からないから。


汚れきった彼等には、何を言っても"感じる事"は分からない。





「掃除は終わったの!?」
「また汚したわね!?」
「今すぐ片付けなさい!」


(嗚呼、鳴り響く雑音が目障り)


だから、私は言われた通りにゴミを片付けた。小さな身体の私には大変だったけど、シンデレラみたいな幸せが欲しくて頑張った。

なのに、窓の外へ視線を移しても魔法使いは来てくれない。




(窓越しに見える大きなゴミ)
(袋に詰められた其れ等を見詰めて分かった)
(嗚呼――‐そうか)


"まだ片付けは終わって無いから、貴方達は現れないのね?"



真っ赤な汚い液体を、一生懸命乾いたタオルで拭ってみた。
汚らわしい臭いを放つゴミを、暖炉に入れて燃やしてみた。
 
 
 
 
 
 
 
(嗚呼、魔法使いサンはいつ来るの?)


静寂の部屋に鳴り響く時計の音が、私の孤独を増させていく。
煌びやかな舞踏会を想像しながら、南瓜の馬車を待ち続ける。

魔法使いサン、私は純粋に貴方達を信じています。ちゃんと部屋の掃除も終わらせました。
だから、早く来てください。
 
 
 
 
 
 
 
(何故、来てくれないの?)
(私はただ、幸せになりたかっただけなのに―――‐‐)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
真っ赤な汚れた血に染まった彼女は、永遠に窓の外を見詰め続けた。