しかし、「ナリタブライアンのような強い勝ち方」、「ルドルフの再来」といった過去の名馬と比較し同様であるかのような表現をみると、それは少し違うのではないかと思ってしまいます。
歴代の名馬たちの走る姿を見て衝撃を受け、競馬を知るきっかっけとなったり、過去の名馬たちの速さ強さを知っている世代には、自分の記憶の中で最も強かったと記憶している馬と比較した表現を使うことは、その人にとって最大の賛辞の言葉として、表現されているのであろうことも理解しているつもりです。
しかし自分は、それらの馬を超えていく可能性をディープインパクトは持っていると感じているので歴代の名馬と比較した表現は使わないように注意しています。
そう感じる理由は、過去にあれほど「魅力のある競馬」をした馬がいたかということです。
これも主観ですが「魅力のある馬」といえばサイレンススズカです。
あの馬も武豊騎手の騎乗によってその才能を開花させたわけですが、「相手にまったく競馬をさせない」というところが非常に魅力でした。
サイレンススズカ自身は競馬をしている感覚がなかったのではないかと感じています。
どこまでも気持ちよく走らせてくれる騎手が乗っている、そんな感覚だったのではないでしょうか。
ディープインパクトはサイレンススズカとはまさに真逆の競馬です。
「他の馬総てに競馬をさせている」のです。
逃げたい馬、好位から抜け出す馬、同位置から末脚勝負してくる馬、総ての馬たちが自身にとって最高と思える展開に持ち込んだとしても、それら総てを並ぶ間もなく直線だけで差しきってしまう。
この全く相反するような競馬をする両馬がちょっとかわっているcologneには今まで競馬を見てきた中で強さや速さを超えた「魅力のある馬」なのです。