逆転劇
今年の新人戦は拮抗した試合が続いた。
決勝のダブルオーバータイム(再延長)はもちろんのことだが、5位決定戦の日大-早稲田もありえない展開だ。ラスト1分を切ってから11点のビハインドからの逆転劇なんて。
#18近に続いて#4斉藤が当たりの激しいディフェンスの上から3P連発して決める。さらに、早稲田のエンドスローインが5秒オーバータイムとなり、再び日大ボールに。
昨年、同じカードで早稲田を勝利に導いた#7木下がプレッシャーをかけたがファウル。
ラストは#4斉藤から、逆サイドのショートコーナーにいた#5松本へ。
松本の左手から放たれた逆転さよならシュートは、すっぽりとゴールに吸い込まれた。
準決勝を賭けた法大戦で日大は最後の最後で法大#5山田にしてやられ、斉藤は号泣した。
「山田でくるのはわかっていたから、最後はマッチアップを代わって自分がマークすればよかったんですが、そのままやってしまったのが失敗でした。それが悔しくて…」
試合後、ロッかルームの外で、早稲田#5近森が吼えていた。
「何が悔しいって、松本に31点も取られたこと!!」
トーナメントでは斉藤も松本もエントリーには入ったものの、コートではなく応援団席にいた。
「誰もからまないから、2,年全体が干されていたんです(笑)」(斉藤)
松本は京王線リーグでは、日本代表合宿に参加していた太田に代わってセンターを務めていたが、“本番”での出番は回ってこなかった。
そんな松本が、AV30得点と今大会ブレイク。大会直前にターンができるようになったことで、プレイの幅が広がった。それまでは限られたステップしか踏めなかった。
「こいつ(斉藤)と違って、高校時代に細かいこと習ってなかったので…。それにしても短い期間でよく“チーム”になれたようなぁ…」と松本は恥ずかしそうにつぶやく。
斉藤は同じ世代のガード談義を始めた。小賢しいプレイヤーときれいなプレイヤー。
小賢しい選手は…ここではやめておこう(笑)
きれいな選手は筑波大#4吉田、東海大#4小林と即答する。
「対戦した中だと、大東大#4竹野は、オールコートだとスピードが乗ると無理かもしれないけど、ハーフコートなら抑えることができると思いました。というか、軽いんですよ。女の子みたいな感じ。当たったらポーンって飛んでいってしまうような感覚がある」(斉藤)
実際に対峙したわけではないが、なんとなく想像できる。
そういえば、以前佐古とマッチアップした学生プレイヤーが
「当たってもびくともしなかった。身体の強さもあるけど、ここからは入れさせないという圧迫感もあるんですかねぇ」
と、言っていたのを思い出す。
新人戦を足がかりにして、メキメキと頭角を現わす選手が秋に現われるだろうか。
戦いの場面はまったく異なるが、何かのきっかけで大学生は飛躍的に成長できるものだと思う。
