オペラ評論家
加藤浩子先生主催、
解説会付きオペラ鑑賞会、
ワーグナー作曲
「タンホイザー」@新国立劇場。
開演前に見どころ解説がある
この鑑賞スタイルは、
大事なところを
眠ってしまったりして
見逃しがちな
ワーグナーにはぴったり。
今回も「気づき」が
いっぱいあって、
とても充実した時間になりました。
毎回観るたびに、
「まったく、この主役の
タンホイザーときたら、
官能のヴェーヌスの世界に
溺れていたのに飽きて、
清らかなエリザベトの待つ
人間社会に戻るくせに、
そしてローマまで
艱難辛苦を乗り越えて
懺悔の巡礼をするのに、
ローマで教皇の赦しを
得られないと知るや、
また愛欲の
ヴェーヌスベルクへ
戻る道を探ってしまったりして、、
こんなヤツのために
聖エリザベトは
自己犠牲の精神で
生命と引き換えに
タンホイザーの赦しを請う、、」
こんなの、あり?
まったく、
なんて理不尽な
ストーリーなのかしら、と
毎回渦巻く怒りの感情。
でも、
それが、
ワーグナーの自己の反映、
と思うと、
なんだか急に
許せちゃうんですよね〜。
とにかくワーグナーという人、
人妻と平気で寝ちゃうし、
パトロンの領主のお金を
平気で使い尽くしちゃうし、
傲岸としか言いようのない男。
それでも、
創り出す音楽は、
本当に美しいので、
騎士歌人タンホイザーの
紡ぐ音と
ワーグナーの音楽がそこで重なる、
というわけで。
なーんだ、
ワーグナーさま、
この壮大なオペラを使って
壮大な自己肯定、
自己弁護をしているわけねー、
納得。
ステファン・グールド。
太く重量感のある、
いかにもワーグナーといった
大好きなテノール。
聖なるエリザベトは
サビーナ・ツヴィラク。
ワグナー歌いのソプラノの中では
かなり小柄なのにも関わらず、
弱音からフォルテまで
感情表現豊かで美女。
ヴェーヌスの
シドラウスカイテは声質が見事。
でもちょっと
官能の表現が不足かな。
シュッとして上背もあるので
美声と相まって硬質な感じ。
日本人歌手では、
牧童を歌った前川依子さんと、
領主ヘルマンを歌った
妻屋秀和さんが出色。
千秋楽、ということで、
全員がチカラを出し切った
素晴らしい舞台でした。
コロナ禍で間引いていた
合唱団も全員が揃い
50人超え。
その声圧たるや、
大変なもので、
そうそうこれがオペラの
もう一つの楽しみ、
やっと戻ってきた、
と感無量なのでした。
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