今日は久しぶりに早く帰宅して時間があるので、先週観たマリインスキーオペラのことを備忘録として書き留めておこうと思います。

ゲルギエフ指揮、共にチャイコフスキー作曲、プーシキン原作の2作、
オペラ「スペードの女王」@東京文化会館と、
コンサート形式で演じられた歌劇「マゼッパ」@サントリーホール。

「スペード」の方はシネマビューイングでも観られたし、割と知っている筋なので、ひたすらマエストロ ゲルギさまの指揮棒に目が行って。

だって、ゲルギさまの爪楊枝、と呼ばれる指揮棒、実際に見たら、焼き鳥串くらいの長さ!
巨匠中の巨匠なのに、何だか笑っちゃう可愛さ!でも、創り出す音はさすがで、ロシアオペラの凄みがびんびんと伝わってくるのでした。

特筆すべきなのは、次の日の「マゼッパ」

初めて観るオペラだし、コンサート形式だし、とあまり期待もせずに行ったのですが、これがもう、魂が震える程、凄いオペラだったのです。

あらすじはこう。実話です。
ウクライナの田舎貴族の娘マリア18歳は、父の親友で70歳を超す老権力者マゼッパが戦争で田舎に駐屯する間に、何故か籠絡され、激しい恋に落ちてしまう。

もう、これだけで悲劇の予感!!

しかも、権力を持ち、野心家で、ロシア皇帝 ピョートル大帝への秘密の反逆心を秘めている、父よりも年上の、フェロモンに満ち溢れたオトコとの、年齢差を超えた恋。

幼なじみの誠実な田舎の青年からの求愛も断って、
老権力者との結婚の申し出に反対し、激怒する父。
家と彼とどちらを選ぶか迫られた究極の選択で、マゼッパを選び、
両親も故郷も捨て去るマリア。

マリアの知らないところで、父である決裂した親友を追い詰め死刑にしようとする冷酷なマゼッパ。

マゼッパの屋敷にマリアの母が必死に忍び込み、初めて自分の愛したオトコの真実の実態を知り、驚愕するマリア。そして、、

第三幕。マゼッパは歴戦に敗れ、かつて駐屯していたマリアの育った田舎貴族の館へ。そこで目にしたものとは、、

もう、なんてロシア的!!
実話を元にしたプーシキンの世界。

息詰まる緊張感、疾走する音楽。

マゼッパは野心家で権力をかさにきて、実に憎たらしいイヤな男なのだけれど、そういう男ならではの色気があり、
その辺りをスリムスキー(バリトン)が堂々と威厳たっぷりに歌って、素晴らしい出来栄え。

特に第二幕の、マリアの若さがこの老年期の自分にどんなに若さと幸せを与えてくれたか、切々と歌うアリアは秀逸。

チャイコフスキーのオペラらしく、マリインスキー合唱団がサントリーホールの正面P席いっぱいに陣取って、民族調あり重厚な合唱ありでとても魅力的。

今思い出してこうやって書いているだけでもマゼッパの舞台が蘇ってくるのです。素晴らしいオペラ。
初めて観たけど、これはもう、チャンスがあればまた観てみたい!


2019年を振り返ると、チャイコフスキーのオペラに恵まれた1年だったことを改めて思い出します。
松本のセイジオザワ フェスティバルでの「エフゲニー・オネーギン」あれも素晴らしかった。。そしてこのマリインスキーの二本も。

バレエでもオネーギンも白鳥も眠りも、色々チャイコは観たわ。。
あらら、長々と書いてしまいました。。改めて、チャイコの魅力に開眼した思いがする1年でした。。

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