英国ロイヤル オペラハウスで、
ヴェルディのオペラ「運命の力」を観ました。


まずキャストが凄い!
主役レオノーラにアンナ・ネトレプコ。
テノール、ヨナス・カウフマン。
バリトン、日本にはあまり来ない、来た事ない?テジエ。
最後の4幕に登場して舞台を締める名歌手フルラネット。

もちろん指揮はパッパーノさま!

演出も凄い。まず最初に子役のレオノーラとその家族が無言劇で登場し、
「救い」の形を見せて印象付けるから、
最後のシーンでの救いとシンクロして、大きな感動をもたらしてくれる。。

生で観るのは初めてのオペラでしたが、こんな演出はこのプロダクションだけ。分かりやすい上に、深く精神性に踏み込んだ解釈で、素晴らしい演出でした。

ネトコさまは、ビロウドのようなソプラノの、ますます毛足が深くなったような表現力がさすが!思わず鳥肌が立つ素晴らしさ。

後半には、この上なく清らかな歌声になり、天上の声で魅了。
やっぱり、ネトコさま、凄い!
改めて思ってしまいました。。


ヨナスさまもすごい!
この人の、声と肉体と、両方における演技力は、今のオペラ界では際立って素晴らしい。

少し硬い特徴ある声が、この役にはぴったりはまり、高音のピアニシモが美しく響き、最高の出来ばえ!

夏にバイエルンで見た時より、おそらく5キロは太ったようで、かなりオジサン化してはいたものの、その分人間の深い部分の表現が表に出てきた感じで、とーっても良かった!

後で聞いたら、つい先頃子供が生まれたそうで、パパヨナスとしては頑張りどころみたい、、

ソロはもちろんのこと、テジエとの男声二重唱があまりにも素晴らしく、鳥肌立ちっぱなし。

声と楽器との美しいレイヤー。世界最高レベルのこんなの聞いちゃうと、もう、普通の人のオペラはとうぶん、見たくないかも、、、

オペラ評論家の加藤浩子先生はじめオペラをお勉強しているお仲間たちに合流しての鑑賞でした!



でもでも、
ここにこぎ着けるまでには、実は大変な事が!!

この「運命の力」、実は今期のロイヤルオペラの超目玉で、売り出しと同時にオンラインに入ったものの、即完売。

その後何度見ても完売、金曜日の昼1時からのフライデー・ラッシュに参加するも、まったく歯が立たず。

昨日までチケットが手に入るかまったく分からない状態で、最終手段として、当日券にかけ、朝9時からボックスオフィス前の道路に並んだのでした!

私の前はスペインからこのチケットのためだけに飛んできた、という元ジャーナリストの老人。
この人、なんと、朝6時から並んでいるそう!凄い根性!

私は2番め、すぐ後ろにパリから来たインド人の女性、その後ろにミラノから来た美女。。

しばらくの間、列はこの4人だったので、待ちながらお喋りしたり情報交換したり、うだうだと待っているうちに10時。

やっとボックスオフィスの中に導かれ、暖かくなり、トイレも貸してもらえ、人心地ついたけど、リターンチケットの発売は、開演時間の2時間前、
ということは、ここであと2時間待つ、ということかー、あーあ、とか言いながら、4人で順番にトイレに行ったりして待つ待つ。。

やっとボックスオフィスに人影が見えて、なんとなく臨戦態勢になったのが11時半過ぎ。
既に2時間半、立って待ってる。。

11時40分頃、先頭の老元ジャーナリストが呼ばれ、急に緊張が高まり動き始める現場!

係りの人が、今まだ2枚しかリターンチケットがない、といい、老ジャーナリストが、僕は2枚買うよ、ごめんね、と私に言い、意気揚々と2枚をゲット!

その後しばらく、何も動きなし。あー、このまま、3時間待ちも徒労に終わるのか、、と心が沈み始めた、その時!

係りの男性が私の方に!
一番高いお席が出たけど、買いますか?と!285ポンドだけどね、、

もっちろん!

で、次のインド人にお先にね、と言ってゲット!

次に出たお席は、ボックス席で、2人組みでなくては買えない仕組みで、一緒に待っていたインド人とミラネーゼはパス。次の順番の英国マダム二人組がゲット。

インド人は、私は60ポンド以下の席しか要らない、と言って、ずっと列の先頭に立っていました。それ以上は見届けられないので、グッドラックを祈りつつ、その場を離れた私。ちゃんと買えてるといいけど。

チケットオフィスの人に聞いたら、こんなにリターンチケットが出ない公演は滅多にない、とのこと。
超プラチナチケットなのでした!

それにしても日本の音楽ツアー会社はすごいね、25人分のプラチナチケットをちゃんと一番いいお席で用意しているなんて。

待ち時間3時間分の腰痛をかかえながら、時間と体力とお金の関係に思いを巡らせてみたのでした。。

こんな劇的な出来事のあとで観た「運命の力」
本当に、本当に、素晴らしかったです!!

#オペラ #運命の力 #ロイヤルオペラハウス