おもてなしの秘訣はやっぱりココロ。   (#^.^#)   
 
ゆう@子育てパパ


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 「がんこ寿司」などの和食チェーンを全国展開するがんこフードサービスは、創業の地である関西で多くのファンに愛され、「関西の外食の雄」と称されることもしばしば。そんな名店となった理由だが、味への強いこだわりだけにとどまらない。がんこは接客態度を競うコンテストを通じて、従業員のサービス向上に努めている。心を尽くした“がんこ流おもてなし”が、がんこの屋台骨を支えているのだ。



■接客でサバイバル



 「いらっしゃいませ、ようこそがんこへ!」



 おなじみのかけ声が会場に響きわたる。がんこが社内で実施している「接遇コンテスト」では、接客担当者が日ごろの接客態度を競い合う。言葉遣いや和服の着付けなど、細かいところにもまで気を配る“サービス力”の根本が試される。



 コンテストは2回の予選と決勝大会で行われる。1次予選は大型の店舗で、筆記と客へのあいさつや鍋などの料理手順の説明といった実技試験を実施する。2次予選は本社(大阪市淀川区)で筆記と実技があるが「重点を置くのは実技だ」(担当者)という。



 決勝では宴席などの場面をロールプレーイング方式で再現し、小嶋淳司会長らが審査。平成19年に行われた第1回は、客に「おすすめ」した料理が品切れと判明したハプニングを想定。臨機応変な対応と舞台裏での奔走ぶりが評価された接客担当が優勝した。



 翌20年に2回目を開催。22年の第3回には、約200人がエントリー。30人が2次予選に進み、8人が決勝に進出した。第4回となる今年は、参加者を募集中だ。



■調理だけでなく、接客技術の向上と継承が必要



 コンテストを19年に導入したのは志賀茂社長(当時)。「食事の内容だけでは満足してもらえない。接客を強化しよう」と思い立ったためだ。社内では当時、調理技術を競う「調理コンテスト」があり、これにならってコンテスト形式をとることにした。



 もう1つの背景は、接客担当が女性中心という事情だ。結婚や出産などで、どうしても人材の入れ替わりが多くなりがちで、統一し、一貫した教育の維持が難しかった。



 そこで導入したのがコンテストだ。グループに共通する高品質のサービスを生みだし、効率的に技術を継承させるという狙いのほか、競い合うことで女性スタッフのモチベーションを上げ、長く勤務してもらおうという狙いもある。



■「人」こそが、おもてなしの肝



 効果は着実に表れている。担当者は「普段は同じ店の人の接客しか見る機会はないが、コンテストでは他店の接客を目の当たりにする。大きな刺激だ」と語る。その上、「接遇に対する意識が向上し、サービスの質の向上につながっている」と自信をみせている。



 なにしろ接遇技術が向上するのは上位入賞者だけではない。「それぞれが研鑽(けんさん)し、コンテストに臨む。つまり参加することに意義がある」(担当者)。確実に「ボトムアップにつながっている」というのだ。



 がんこでは接遇と調理に加え、QC(品質管理)のコンテストもある。料理の提供スピードの向上、接客の動線の効率化など、普段から業務全般で工夫していることを披露。これらはがんこの「3大コンテスト」と呼ばれており、小嶋淳司会長は「接遇、調理、QCの3つのコンテストはがんこの肝」と話すほどだという。味はもちろん、何より人を育てる。がんこのおもてなしの秘訣(ひけつ)は、ここにある。(中村智隆)