ゆう@子育てパパ

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2015年3月の北陸新幹線開業に向け、よく見掛けるようになったのが県のマスコット「きときと君」だ。誕生をさかのぼると4年前のスポーツイベントにたどり着く。近ごろはもっぱら新幹線を模した「ぶりと君」を抱えて開業をPRし、東京・国立競技場では全国高校サッカー選手権の富山一の応援で存在感をアピール。県内外を奔走し、県議会の論戦にも取り上げられたきときと君たちの歩みや横顔に迫った。(政治部次長・片桐秀夫)
きときと君の誕生のきっかけは10年に県内全域で開かれた生涯スポーツの祭典「全国スポーツ・レクリエーション祭」だ。開催2年前の08年11月28日、県の準備委員会が開かれ、きときと君がマスコットとして正式に承認された。
デザインは応募のあった342点から選ばれた。立山を擬人化したキャラクターで、愛称も公募で決まった。誕生日は実行委があった11月28日だが、出生年は「永遠の少年なので決めていない」(知事政策局)。
スポ・レク祭が終わり、11年2月の会合で実行委の解散を決めた。しかし、きときと君は幅広く親しまれているなどの理由で県のマスコットとして存続させるとし、子供たちとの体操などで活躍することになった。
■「ぶりと君」登場
県は12年5月、「新幹線戦略とやま県民会議」の初会合を開いた。協議の中で、きときと君が新幹線の形をしたブリの「ぶりと君」を持ったイラストを公開し、積極的に活用すると表明。開業PRでも活動することになった。
当時は北陸を走る新型車両(E7系)の発表前で、初期の「ぶりと君」は長野新幹線「あさま」のE2系がモデルのため、腹部が青い。新型が発表された12年秋以降はE7系を模して腹部を白く変更。「ブリは出世魚。デザインも出世した」(知事政策局)との見解だ。
県のホームページによるときときと君の身長は「立山の1500分の1」。標高3003メートルの雄山で計算すると2メートルと長身だ。体重は「ブリ5本分」。「平均的なブリは9~10キロ前後」(氷見漁協)のため、45~50キロとかなりの痩せ形になる。
■県議会で討論に
熊本県の人気ゆるキャラ「くまモン」が刺激となり、富山県議会でもきときと君が話題に。昨年の3月定例会で、神田真邦氏(自民)が「TOYAMA」と入った鉢巻きと胸の県章から「地域アピールをしすぎでは」と指摘。ゆるキャラファンから敬遠される面もあると言い、新キャラクターの策定を求めた。
答弁した日吉観光・地域振興局長は、きときと君を「浸透している」と強調し、新キャラを作る考えはないとした。その上で、着ぐるみの構造上、動きが制限されることを踏まえ「多少機動性に欠けるので、今後、機敏に動ける少年に育ってくれれば」とユーモアを交えて答えた。
神田氏は11月定例会で無料通信アプリLINE(ライン)で使うイラスト「スタンプ」にするよう提案した。荒木知事政策局長は登録に2500万円が必要なことに加え「喜怒哀楽の表現が必要で、元気な男の子のイメージに合わない」。公式マスコットだけに、少々お堅いようで「怒」「哀」は問題があるようだ。
■営利目的で使用可
応募したきときと君の図案が選ばれた大阪市の女性グラフィックデザイナー(38)は、魅力の一つを「つぶらな瞳」と解説する。新幹線のPRでも張り切っていると聞き「多方面で活躍し、頼もしく思う。今後も頑張ってほしい」とエールを送る。
きときと君は13年度、55件の県内外のイベントに出演する予定だ。今月中旬の全国高校サッカー選手権では、準決勝と決勝の両試合で富山一を応援した。県は商標権も取得し、昨年11月から使用受け付けを始めた。営利目的の商品でも無料で使え、現時点で19件の活用が決まった。
日本銀行の試算では、くまモンの経済効果(11年11月から2年間)は1244億円。さて、きときと君、自慢の緑の運動靴で、ゆるキャラ界のトップランナーに、どこまで追いつくことができる?
北日本新聞社