ゆう@子育てパパ

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作業が始まっている2014年度税制改正の焦点になっているのが、地方税である軽自動車税(地方税の市町村税)の増税問題だ。総務省は1984年以来の軽増税を目指すが、自動車業界は猛反発している。「軽ユーザーは低所得の方が多く、弱い者イジメだ」(鈴木修スズキ会長兼社長)、「超高齢化が進む中、軽は地方の足。消費税増税に加え軽自動車税が上がるなど、決して容認できない」(伊奈功一ダイハツ工業会長)と。軽自動車税増税論は、消費税率が10%となる15年に廃止される自動車取得税(地方税の道府県税)の代替財源という性格で浮上して、まさにいま与党税調で協議されている。
さて、税にばかり気をとられているが、軽はいまや新車販売の4割を占める。そこで、角度を変えて軽自動車がもつ価値について触れてみよう。「軽は日本の独自規格でありガラパゴス。なので必要ない」と軽否定論者は指摘する。
これに対し鈴木会長は「軽自動車は海外でも通用する」と訴える。スズキはインドで年間約100万台の四輪車を販売するが、「半分は軽自動車。ただし、エンジンは660ccではなく、800ccから1000cc。エアコンの使用頻度が高いためだが基本部分は日本の軽と一緒。今後はインドネシアやタイにも軽の技術を生かした車、さらにエネチャージなど環境技術を展開する」と鈴木会長。
ダイハツが今年9月にインドネシアで発売した小型車「アイラ」は、同国政府の低価格・環境配慮車(LCGC)政策に対応した優遇税制対応の第1号車。軽自動車「ミライース」に採用された低燃費化技術が導入されている。軽自動車の最後の規格改定は1998年。安全面からボディーは大きくなったが、排気量は660cc以下のまま変わらなかった。このため、トヨタ「ヴィッツ」など小型車と比べ燃費性能は当初劣っていた。
だが、15年が経過したいま、当時と同じ規格でありながらリッター35キロメートルとハイブリッド車並みの低燃費を実現する軽も登場している。車体の軽量化、エンジンの改良を重ねた結果だが、「軽は規格が決まっているので、逆に技術力は高まった。妥協は許されない分、技術者が創意工夫するため」(軽自動車の技術者)という。
製造から廃棄までの期間に、使用されるエネルギー量や二酸化炭素(CO2)の総排出量でも、軽は環境に優しい。また、安価であっても利益を出すための調達ノウハウや生産技術も蓄積されてきた。さらに、「軽は電気自動車に向く。長距離走行の必要がなく、ボディーは軽くて小さいため電池が小さくてすむ」(志賀俊之日産自動車副会長)。
国内規格の軽自動車づくりが、国際競争力を高める源泉になってきたのは間違いない。ただし、軽はグローバルスタンダード(国際標準)ではない。あくまで「日本人と体格が同じアジアの人々向けのエコカー」(鈴木会長)の位置づけだ。それでも、増税されれば有力な国際競争力はそがれてしまう。まずは、地方の外郭団体を民営化するなど“贅肉(ぜいにく)(タックスイーター)”をそぐ取り組みが求められる。(経済ジャーナリスト 永井隆)
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