ゆう@子育てパパ

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7日午前10時すぎ、JR高岡駅から約700メートル西側の高岡市清水町から羽広にかけての市街地にイノシシが出没した。イノシシは車にぶつかり、スーパーのガラスを割って侵入するなどした末、道路工事現場の掘削部分に落ちたところを駆け付けた県職員に麻酔を打たれ、約4時間半後に捕獲された。けが人はなかった。
イノシシは体長約1メートル、体重33キロで、1歳ほどの雄とみられる。最初に目撃されたのは午前10時ごろ。目撃者によると、高岡市清水町の国道156号線を横切ろうとして走行中のワゴン車の後輪に衝突し、方向を変えてauショップ高岡清水町店の駐車場を走り抜けたという。
約10分後には、同市木津のバロー高岡木津店の正面ガラス(高さ214センチ、幅70センチ)を突き破って侵入。買い物客の休憩スペースを数メートル走ってからUターンし、別のガラスを破って外に逃げた。
同10時半ごろ、同市羽広の道路工事現場に現れ、掘削部分(10メートル四方、深さ3メートル)に転落。午後1時50分ごろと同2時5分ごろ、県自然保護課職員が吹き矢で麻酔を打ってイノシシを眠らせ、同2時半ごろに取り押さえた。
県は捕まえたイノシシを殺処分とする保護管理計画を打ち出しているが、市は「市民感情に配慮した」(農業水産課)とし、農作物への影響が少ない市内の山奥に放した。
スーパー近くの木津小学校(高岡市木津)はこの日休みだったが、外出した児童が被害に遭うことを懸念し、同日昼ごろ、緊急メールや電話で出没を保護者に連絡した。森田英宏校長(54)は「イノシシが市街地に出没した今回のケースを踏まえて、今後の対応を検討したい」と話した。
市内ではことし4月から今月7日までに、昨年度の8頭を大幅に上回る22頭が山間部で捕獲されており、市猟友会長で県鳥獣保護員の伊東洋三さん(68)は「イノシシの数が増え、縄張りが広くなったのではないか」とみる。県高岡農林振興センター企画振興課の林保則主任普及指導員は「警戒心が強いイノシシが自ら市街地に来たとは考えにくい。どこかで追い払われたのではないか」と話した。
■開店直後ガラス破りスーパー侵入
ガッシャーン、ガッシャーン。7日午前10時10分、開店直後のスーパーに大きな音が2度響いた。バロー高岡木津店の正面ガラスを突き破って飛び込んできたイノシシは、すぐさま別のガラスを破って走り去った。この間、わずか数秒の出来事だった。
林和宏店長(32)が正面に駆け寄ると、2枚の大きなガラスが割れ、破片が散らばっていた。休憩用のいすが置かれた一角に、買い物客や従業員が不安そうに集まっていた。「目の前をすごい勢いで走り、もう少しでぶつかるところだった。怖かった」と年配の女性客。比較的客が少ない時間帯だったこともあり、けが人はなかった。林店長は「店内で暴れていたら大変だった」と胸をなで下ろした。
約20分後、同市羽広の道路工事現場に現れたイノシシは、周辺をうろついた後、約3メートル下の掘削部分に転落。四方を囲まれており、逃げ出す心配はないものの、市街地のため銃は使えない。じりじりとした時間が過ぎた。
午後1時半ごろ、麻酔を打つ吹き矢が到着。県自然保護課職員が吹き矢を命中させると、見守っていた近隣住民からどよめきが起こった。ぐったりしたイノシシは網に入れられ、トラックで運び出された。工事現場から程近い和田保育園に子どもを通わせる主婦、藤原美紀さん(42)は「また出没して子どもがけがをしたら困る」と心配そうに話した。
■山間地遠く 理由不明
イノシシが現れたのは山間地から程遠い市街地。県によると市街地への出没は過去に例がなく、担当者は「はっきりとした理由は分からない」と首をかしげる。
イノシシは雑食で、植物の根やミミズなどを食べる。県自然保護課によると、山間地にいればこうした食べ物に困ることはなく、餌を求めて市街地まで来たとは考えにくいという。
県内のことしの捕獲数は8月末時点で200匹で、昨年同期の85匹から大幅に伸びている。個体数が増えている可能性はあるが、同課は「(今回は)偶発的なものではないか」とし、今後市街地への出没が続く可能性は低いとみている。
北日本新聞社