ゆう@子育てパパ

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■金賞数日本一 新城猪之吉さん(63)
東日本大震災から数え、3年目の新酒の仕込みが始まった。月末には酒どころ福島県の蔵に、新酒の出荷を知らせる杉玉がぶら下がる。が、被災3県の中で原発事故のあった福島だけは出荷量の落ち込みが顕著だ。都内百貨店からも「厳しい。(前年比)3割減です」。こんな答えが返ってくる。
風評被害が止まらない。「西日本ではもっと厳しいし、韓国、中国向けは輸出すらできない」。福島県酒造組合会長で、酒蔵の観光コースにもなっている会津若松市の「末廣酒造」7代目は天を仰ぐ。震災の年は福島の酒を応援しようと、「事故前に仕込んだ酒が買われた。だが、事故後につくった酒は風評被害で売れなくなった」。
県の試験場に預けてあった酵母をつなぎ、隣県の山形の蔵で再起した浪江町の蔵元。防護服を着て双葉町の避難区域の蔵に帰り、取り戻した酵母でよみがえった酒-。福島では、避難でばらばらになった町の人々の心をつなぐ努力が続く。自身も、消費者とをつなぐマルシェ(市場)のイベントなどに出品し、月の半分以上は全国を回る。
県内55の蔵元は40社以上が地震の揺れで被害を受けた。にもかかわらず、福島の酒は今年の酒類総合研究所の全国新酒鑑評会で、金賞数日本一に輝いた。金賞233点中、26点という快挙。蔵元を超えた杜氏(とうじ)の研究会などの取り組みが、成果につながっている。
厳しい放射性セシウムの検査も通過し、外国人特派員協会では「日本一安全」との評価も得た。「おいしく安全な福島の酒を世界に」。政府の輸出戦略を追い風にこの秋、北欧にも市場拡大を仕掛ける。(大塚昌吾)
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