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ゆう@子育てパパ


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 ■仮設暮らしの17歳 相馬に勇気



 12日に開幕した全国障害者スポーツ大会には、東日本大震災で被災した障害者も出場している。同日の陸上800メートル(少年、知的障害部門)に出場した福島県立相馬養護学校高等部2年、今野麻美(あさみ)選手(17)もその一人だ。津波で自宅を失い、今も同県相馬市の仮設住宅で暮らす。慣れない仮設住宅での生活が続く中、スポーツの存在に救われたという今野選手。笑顔でトラックを駆け抜け、大好きな故郷を勇気づける走りを見せた。



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 2年前の3月11日、相馬市にあった今野選手の自宅は津波に襲われた。当時は中学3年。幸い家族は無事だったが、自宅は全壊。今も同市内にある仮設住宅での生活が続いている。



 今野選手が陸上と出合ったのは震災の翌月。現在通う養護学校に進学したのがきっかけだった。体力作りのため全校生徒がランニングをしており、今野選手の走りを見た当時の陸上部顧問から陸上を薦められた。



 「初めは走るのが嫌いだった」という今野選手はトレーニングを重ねるうちに実力を伸ばし、昨年10月の福島県の大会では400メートルと800メートルで優勝した。



 学校のグラウンドに仮設校舎が建っているため、校庭での練習はできず、練習場所は学校前にある1・5キロの坂道。恵まれているとはいえない練習環境にもかかわらず、「とにかく走るのが楽しい」と陸上にのめりこんでいる。



 中学では学校を休みがちだったという今野選手だが、陸上を始めてからは体力もついて性格も活発に。震災が今野選手の心に与える影響を心配していた母の明美さん(44)も、娘の元気な様子に目を細める。「陸上を始めてから別人のように明るくなった。自分の居場所を見つけたみたい」と振り返る。



 「全国大会では日頃の練習の成果を出したい」と臨んだ障害者スポーツ大会。12日の800メートルでは序盤に先頭集団に差をつけられたが、終盤に持ち前の粘り強さを発揮。最終コーナーで1人を追い抜いて6人中5位でゴールインし、自己記録も更新した。



 初めての全国大会で結果を出せたことが自信になったという今野選手。競技終了後には、「これからも陸上を続けたい」と笑顔で話した。



 震災はまだ今野選手の生活に影を落としている。今野選手の家は漁業で生計を立てているが、震災前に比べて魚の漁獲量が減っている。現在の仮設住宅は、家族7人で暮らすには決して広いとはいえず、不便な生活が続いている。



 それでも「生まれ育った福島が好き」と話す今野選手は、故郷での暮らしにこだわり続けている。養護学校を卒業した後は、福島県内で仕事を見つけるつもりだという。



 初めて出場した全国大会で全国レベルの選手と競った今野選手には、新たな目標もできた。7年後の東京パラリンピックだ。「今度は世界の選手と一緒に走ってみたい」。故郷の復興を祈る今野選手は、夢に向かって福島で走り続ける。