ゆう@子育てパパ

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90歳を超えても現役で活躍する女性たちの生き方や思いを紹介する本が続々と出版されている。戦中戦後をたくましく生きてきた姿が前向きで生きるヒントにつながると、幅広い世代から支持を集める。100歳近くになっても精力的に仕事をし、多数の著書を出版し続けているフォトジャーナリスト、笹本恒子さん(98)を訪ねた。(清水麻子)
◆自分でもびっくり
笹本さんは大正3年生まれ。昭和14年から報道写真に携わり、激動の昭和時代を撮影した日本初の女性報道写真家だ。
99歳の誕生日の9月1日を前に出版された『99歳、現在進行形ね。楽しく生きる心がけをお話しします』(小学館)。100歳近くなってもフランスなどに撮影や取材に出掛け、食事やおしゃれにこだわりながら友人と交流し、楽しく暮らす日常が紹介されている。
「間もなく100歳だなんて、自分でもびっくり。無我夢中でここまで来たけれど、好きなことをしている毎日が楽しい」
激動の昭和の時代とともに歩んできた笹本さん。終戦後はフリーの報道写真家として、新聞や雑誌に写真や記事を提供。連合国軍総司令部(GHQ)最高司令官、マッカーサー元帥や日米安全保障条約改定の反対デモなども取材した。
一時、家庭の事情で報道写真の世界から離れるが、昭和60年、71歳で再びフリーのフォトジャーナリストとして復帰。「筋が通っていた明治生まれの女性たちを記録しておかなければ」と、作家の佐多稲子さんらに取材し、82歳で明治生まれの女性60人の写真展を開催した。
◆「疲れた」は厳禁
90歳を超えても仕事への情熱は変わらない。しかし、93歳のとき、高い所の帽子を取ろうとして椅子から落ちて腰を打ち、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)になった。「もうだめかもしれない」と自宅マンションを売り、老人ホームに入ろうとしたこともあった。「でも、ホームが気に入らなければ困るし、夕食にワインも飲めないし。いろいろ考え、結局はやめました」
脊柱管狭窄症との付き合いは今も続く。10分でできたことが30分かかり、長い時間歩くのはつらくなった。しかし、笹本さんは「気持ちまで緩ませると、一気に年を取ってしまう。前よりもゆっくりでいいから、やってみることにした。『疲れた』という言葉は厳禁にしています。高齢の友人が集まると病気の自慢大会になりがちだけれど、パリや芸術などもっと楽しい話がしたいもの」と話す。
元気の一番の要因は、あふれ出てくる好奇心だ。15年以上続ける「毎日メモ」。毎日の事柄を書き留めたり、気になった新聞記事を切り抜きしたりして、取材用の資料としても使っている。
「最期まで仕事を続け、100歳の記念にはまた写真展を開きたい」と笑う笹本さん。「挑戦し、努力すれば、いくつになっても夢はかなう」と、まだまだ元気だ。
◆笹本さんの暮らしぶりを紹介する「ふだん着の笹本恒子展」が9月10~15日、東京都目黒区の「ギャラリーコスモス」で開催される。入場無料。問い合わせは(電)03・3495・4218。
■100歳前後の現役女性の著書好評
100歳前後の現役職業女性の最近の著書としては、家事評論家の吉沢久子さんが日常生活をつづった『95歳。今日をたのしく。もっと前向きに』(海竜社)、97歳の現役小児科医、貴島テル子さんが人生を振り返った『75年目のラブレター』(朝日新聞出版)、裏千家に生まれた茶道家、塩月弥栄子さんが波瀾(はらん)万丈の半生などをつづった『塩月弥栄子95歳 思いのままに生きなさい』(小学館)などがある。
90代前半では、最高齢現役ピアニスト、室井摩耶子さんの『わがままだって、いいじゃない。92歳のピアニスト〈今日〉を生きる』(同)も好評だ。
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