
人気ブログランキングへ
関西電力大飯原発3、4号機(福井県)が、7月の原発の新安全基準の施行後も運転継続できる見通しになった。定期検査に入る9月まで運転できれば今夏の電力不足は緩和されるが、新基準のハードルは高いとみられ、敷地内の「活断層リスク」も残されている。大飯2基に続く原発が再稼働できない恐れもあり、電気料金の再値上げへの懸念は消えない。
大飯2基をめぐっては、原子力規制委員会の田中俊一委員長が1月、「例外扱いできない。自動的に9月までの運転はあり得ない」と発言し、関係者の注目を集めた。
新基準の骨子案で、原子炉内の蒸気に含まれた放射性物質を取り除く「フィルター付きベント(排気)設備」や、原子炉の冷却や排気などができる第2制御室を備えた「特定安全施設」の設置などを提示。しかしいずれも設置に時間がかかるため、大飯2基に対する規制委の対応が焦点の一つに浮上した。この流れに対し、電気事業連合会(会長=八木誠・関電社長)は2月、新基準の適合確認の方法や手続きをあらかじめ明確にすることを求めるパブリックコメントを規制委に提出。新安全基準に早急に対応したい姿勢をアピールしていた。
規制委は19日の会合で、新基準の内容が固まる4月以降に大飯2基が運転を続ける条件を満たしているかどうかを確認する考えを示した。定検終了後に新基準に照らし合わせて本格的に審査するといい、夏場は稼働を継続できる。関電は「すぐに必要な対策は新基準の施行を待たずしてできるものから対応する」と説明する。
ただ、大飯2基が9月の定期検査まで運転できてもその後、高浜3、4号機(福井県)など他の原発の再稼働が認められるとは限らない。特定安全施設などの設備には5年の猶予期間を認めたが、多額の設備投資は避けられない。
さらに大飯原発の敷地内を通る破砕帯が、地震を引き起こす活断層かどうかの議論も見通しが立たない。関電が示した追加調査計画に対し規制委の調査団は、掘る範囲を限定しないよう計画の見直しを求めており、取りまとめには時間がかかりそうだ。
関電は大飯2基に加え、高浜3、4号機(福井県)の7月の再稼働を前提に家庭向け電気料金の値上げ幅を申請している。しかし原発が再稼働できなければ、この前提が崩れ、さらなる値上げを迫られることになりかねない。
- 原子力政策 割れる見解…「即時ゼロ」の福島、「推進」の福井
- 弱音、仲間割れ、能力限界…「原子力規制委」は大丈夫?
- 九州随一のガリバー企業が瀕死に…原発の是非、堂々と議論を
- 森永卓郎氏 「原発再稼働せねば日本経済は破綻しかねない」
- 国民だけでなく専門家もみな信じた「世界一の原発」の事故
- 楽天「アマゾン化」で対抗