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消費者が産地を訪れて農作業を体験するツアーが人気を集めている。食の安全・安心への関心の高まりが背景にあり、子供の食育にもつながっているという。農家が生産への思いを伝えることで、農作物の販売拡大などの効果も期待される。(竹岡伸晃)
◆顔が見え、身近に
「おいしい野菜を作るには土作りが大切。今日は、おからと米ぬかを土にまく作業から体験してもらいます」。先月22日、千葉県我孫子市の農家、今村直子さん、細渕有里さんの畑で行われた農業体験ツアー。親子連れら計33人が参加し、土作りやカブ、ニンジンの種まき、ナスやピーマン、オクラの収穫に取り組んだ。作業終了後は収穫した野菜などを使ったバーベキューなどを楽しんだ。
横浜市の幼稚園教諭、丸山直子さん(40)は「野菜がどのように育つのか、農家の方がどのように育てているのか息子に見せたかった」。息子の慶太君(9)も「自分で収穫したナスはおいしい」と笑顔で話した。
企画したのは、IT企業のサイバード(東京都渋谷区)。モバイル端末向けのコンテンツ開発などが本業だが、平成22年7月、消費者が農家から直接農作物を購入できるサービス「マイファーマー」(http://my-farmer.jp/)を始めた。
ウェブサイト上で、約70の農家が自慢のコメや野菜、果物、茶などをPR。消費者はインターネット経由で、各農家から野菜や果物のセットなどを購入する。新鮮さに加え、「生産者の顔が見える」ことが安心感につながり、利用者は右肩上がりで増えているという。農業体験ツアーは、生産者と消費者をつなぐ仕掛けの一つだ。
企画した同社MC2事業本部の吉田力由(りきよし)さんは「生産現場を知ることで農家がより身近になり、作物の販売増にもつながる」と指摘。岩手や鳥取、京都の農家を訪れるツアーなども計画している。
◆地域活性化に一役
企業などの福利厚生メニューとして農業体験ツアーを提供する動きもある。福利厚生の受託・運営会社、ベネフィットワン(同)が20年から手掛ける「ベネ・ワン村」がそれだ。
埼玉県ときがわ町に借りた約900平方メートルの水田で、地元農家の教えを受けながら、3回に分けて田植え、田んぼの草取り、稲刈りなどを行う。参加者は後日、精米した新米を送ってもらえる。米作り以外にもタケノコ掘りや手打ちうどん作り、そば打ち体験などのツアーを用意。昨年から淡路島(兵庫県)での野菜作り体験も始めた。
同社は大企業や官公庁など約4千団体(会員数約582万人)の福利厚生を代行。食育や食の安全・安心への関心の高まりを受け、会員向けにこうしたツアーを始めたという。
同事業の責任者、真保まゆみさんは「地元農家と交流することで地域活性化にも貢献できる」。今後は漁業や林業などの体験ツアーも実施していく方針だ。
■旅行各社もプラン提供
旅行各社も農業体験ツアーに力を入れている。JTBグループのJTB法人東京(東京都新宿区)は、親子で参加する体験型ツアー「旅いく」のプランとして農業体験を用意。千葉県君津市の貸し農園などで野菜作りや収穫を行う。また、JAグループの農協観光(千代田区)も「生産者との交流を通じて農業を理解してもらう」(同社)目的で、全国各地でコメや野菜、果物などの農作業を体験するツアーを実施している。
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