原発が稼働してないからといっても
まだ作業は続いています。忘れちゃぁいけない。(-_-;)



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 東芝が開発した、水に含まれる62種類の放射性物質を除去できる放射能汚染水処理装置が、東京電力福島第1原子力発電所の廃炉処理を大きく前進させると期待されている。同原発内に大量に存在している汚染水の処理に大いに貢献することが見込まれているからだ。東芝は9月から同原発内で試験運転を始め、年内にも本格稼働させる考えだ。



 「汚染水を処理できれば廃炉処理に向けた作業が大きく前進する。意義は大きい」。7月24日、東芝が京浜事業所(横浜市鶴見区)で開いた説明会で、原田稔之事業所長は新開発の処理装置の性能に胸を張った。



 東芝が開発したのは「アルプス」と呼ばれる多核種除去設備。汚染水から重金属やカルシウムなどを除去する前処理設備と、活性炭や樹脂などの特殊な吸着材で放射性物質を取り除く吸着塔で構成。福島第1原発では、汚染水からセシウムを取り除く東芝製の処理装置「サリー」が稼働中だが、アルプスは残留するストロンチウムやヨウ素などの放射性物質を除去し法定濃度以下に下げる。いずれの物質が外部に漏れ出しても許容される濃度以下にできるといい、例えばストロンチウムなら汚染水の濃度の約1000万分の1に下がる。



 福島第1原発には全部で3系統を設置。通常は2系統を稼働させて1日当たり計500トンを処理する。東電によれば、同原発の敷地内には約20万トンの汚染水があるため、同装置を使えば約400日で処理できる計算だ。放射性物質を吸着させた使用済み樹脂は、専用容器で保管するという。



 アルプスは、米放射性廃棄物処理事業大手のエナジーソリューションが開発した設計技術を基に東芝が系統や機器類を仕上げた。価格は非公表。東芝は2月に東電から機器類を受注。3月から製造を開始し、6月から同原発内で取り付け作業を進めている。 



 原発メーカーの東芝は、福島第1原発の事故の収束に向け、新技術を通じて東電や自治体の除染の支援を続けている。事故後、国内原発の新設が停止し、再稼働もままならない状況のなか、原発敷地内外の放射能を取り除くことが、国内事業が再スタートするためには欠かせないと判断しているためだ。



 汚染水処理分野では、移動式の処理装置をIHIと共同開発。特殊な吸着材を施したドラム缶に汚染水を通し、セシウムを取り除く仕組みで、農業用水やプール水を1時間当たり1トンの割合で処理できる性能を各自治体に売り込んでいる。また、土壌にたまった放射性物質の除去に向けては、トレーラーで運べる放射能汚染土壌処理装置「サリー・ソイル」を開発。土壌にたまった放射性セシウムを97%除去することが可能で、1日当たり砂場2面相当分の1.7トンの処理が行える。東芝は、学校や公園などに装置と作業員を派遣し、1日当たり数百万円で除染を請け負う。 このほかに、持ち運びが可能な重量(9.8キロ)で、放射線量を色の変化で簡単に表示できる測定装置を開発し、1日当たり50万円で測定代行サービスを手がけている。



 環境省の試算によれば、福島第1原発事故に伴う除染活動で生じる土壌や廃棄物は合計で最大、東京ドーム35杯分に相当する4400万立方メートルにのぼるという。東芝では「敷地内の汚染水処理や、飛散した放射性物質の解決抜きに、原発の再稼働や新設の計画が動き出すのは難しい」(幹部)とみて、より効果的な除汚技術の開発を急ぐ。(今井裕治)