沖縄県の尖閣諸島(中国名、釣魚島)をめぐり日中間の対立が先鋭化していることが、中国のインターネットで話題を集めている。各掲示板には日本批判と同諸島に対する中国の領有権を主張する書き込みが殺到。政治系サイトに限らず、ほかの分野のサイトにもこの話題は及んでおり、なかでも自動車ファンなどが情報交換する複数のサイトで「日本車を壊すべきかどうか」について賛成派と反対派に分かれて激論を戦わせていることが興味深い。
議論のきっかけは8月19日の日本人の尖閣上陸などを受け、同日に中国全国25都市で起きた反日デモ。参加した一部の若者が日本製自動車を壊し、日本レストランを襲撃するなど暴徒化した。
翌日付の中国紙、中国青年報は「日本車を壊すことは愛国行為ではない」との趣旨の記事を掲載したが、インターネットにはこれに反発する意見も多く寄せられた。
日本車をめぐる激論が交わされているのは「汽車之家論壇」(自動車の家フォラーム)など複数の大手サイト。他人の財産を壊すことは中国でも違法行為だが、これまでの数々の反日デモの中で、日本車を壊したことなどを理由に処罰された関係者がほとんどいなかったこともあり、議論の参加者からは「法律違反だからやってはいけない」という視点からの意見がほとんどなかったのが特徴だ。
賛成派の意見として多く挙げられるのは、「平和的なデモ行進だけでは日本への怒りが伝わらない」「日本製自動車を購入する人にも責任がある」「修理代はほとんど保険から出るため、車を壊された人の経済負担はそれほど大きくない」といったものがある。「日本車を買う人が少なくなれば、国産車が売れるようになり、国民の生活改善につながる」といった理屈で長文を寄せる人もいる。
これに対し、反対派は「日本系自動車の工場の多くは中国国内にあり、日本車が売れなくなれば実害を受けるのは中国人労働者だ」「中国人が暴徒化する写真が世界中に配信され、中国全体のイメージが低下する」「壊された自動車はみな日本系の修理工場に回され、最終的に潤うのは日本人だ」といった意見がある。
反対派と賛成派はほぼ6・4の割合でやや反対派が多いが、「一般民衆の自動車を壊してはいけないが、政府の公用車、警察のパトカーが日本製なら壊すべきだ」といった“中間派”の意見もある。
反日デモは土日の週末を中心に、広東省東莞、海南省海口などの地方都市で呼びかけられている。日本車の所有者に対し、「デモ行進のコース周辺から事前に自動車を遠い場所へ移動しなさい」とアドバイスする人もいた。
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