薬学部の学生時代に読んだ熱力学の本は図書館で借りてきたものも含めるといろいろあるが、その中でも物理学や熱力学に対する世界観が変わったものを紹介したいと思います。
まずはこの1冊、「田崎熱力学」です。
大学2年生の時に当時行きつけだったコーヒー店(時々ジャズの生演奏を行う。)で、むさぼるように読んでいました。
「熱」という概念を「得体の知れないよく分からないもの」と捉えているところが目から鱗で、理解できないものを無理に理解するのではなく、理解できる概念から捉え直せば良いことを教わりました。
また、この本のおかげで、完成された物理学は論理的に整合性が取れた美しいものなのだと知りました。
続いてこちらです。(僕の持っているのは古い版です。)
数学的な要請(公理系)から、熱力学を再構築しており、軽い気持ちで本書を読むといきなり意味不明な異空間に放り込まれてしまいます。
しかし、本気で熱力学という分野を理解したいと方には避けて通れない本となるでしょう。
また、物理学的な思考方法や、他の物理学の分野と熱力学との関わり、熱力学の応用範囲の広さなどが丁寧に説明されており、これらだけを読むだけでも価値があると思います。
僕はこの本に出会うまでは、量子力学(量子化学)こそ物理学の花形であり、意欲的な薬学生はこれをしっかり勉強するべきだと考えていました。
しかし、この本に出会い、量子力学よりも熱力学に興味を持つ薬学生となりました。
この2冊は、薬剤師国家試験に合格できさえすればそれで良いという薬学生の方々には正直オススメできませんが、もともと数学や物理学に興味がある薬学生には無償で配布したいくらいにオススメしたいものです。
世界観が変わる本にはそう滅多に出会えるものではありませんし、世界観が変わることこそが読書や勉強の醍醐味でもあるはずです。
まずは、図書館で探してみてはいかがでしょうか。
ありがとうございました。