「言葉」という語句は
「言の葉」とも表現することをご存知でしょうか。
さらに、やや古い書物では「言の端」と表します。
どちらも音は「コトノハ」です。
なぜ、言葉にこの字を当てたのでしょうか。
葉と端―― 字は違えど両者は同じ意で、一部分を示しています。
学生であれば試験問題の条件文を、会社員であれば会議を
連想していただけると、分かりやすいと思うのですが、
言葉では「すべては表現できない」のです。
思ったことをそのまま言葉にしたつもりでも、
収まらなかったり、足りなかった部分が
必ずと言っていいほど生まれます。
私は、言葉が伝えているのは30%程だと感じています。
それを受け手が練習や反復、好意や経験で
私の伝えたいことをなんとか補ってくれている、という
状況がほとんどではないでしょうか。
「ただし、条件として―」
「もちろん、例外があり―」
「そのような場合には―」
といった補足を
問題文や会議では頻繁にしていると思います。
これは、裏返すと、
口にした瞬間、言葉にした途端、矛盾する
とも言えるのです。
人と会って話をする、思ったことが伝わる、それは
本当は奇跡的なことだと思います。
実は伝わっていないのではないか、と
考えていると、いつも不安になりますが、
伝わってないほうが問題です。
なるべくなら、矛盾を小さくする努力をしていきたいものです。
そう想う姿勢が何より重要だと思います。
大きくしてはいけません。
どんなに頑張っても、なくなることはありません。
大切なことは、小さく収めること、小さいことです。
