SMELL
匂いは、記憶と最も繋がる存在です。
さて、ポップです。ポップな、私はあんまり聴いた事の無い類です。
なのに、合っている。不思議な事に。
櫻井さんの声と、よく合っているのです。
さて、岡村靖幸さんが作曲と演奏…全部なんだ。担当されていらっしゃいます。
岡村靖幸さん。名前は聞いた事あるぞ。
調べてみると…えらい経歴の持ち主なんですね。あらゆる意味で。
和製プリンスか…。シンガーソングライターダンサー…。
何者だ、この人。
えっと、自ら作詞作曲して歌う事に加え、多くのアーティストに楽曲を提供していらっしゃるんですね。
「愛の才能」は知ってます。
で、櫻井さん。あ、櫻井さんと同学年なんですね~。
櫻井さんの歌い方。かすれてていい感じにイヤラシクなってます。
歌詞の話。
最初に、匂いはどうたらこうたら書きましたが、人間の五感の中でもっとも記憶に結び付きやすいのが嗅覚なんですって。
現に、この曲の歌詞にも、それに関する事が書かれてあります。
・・・顔も知らない 名前すら忘れた
だけど君の匂いだけ 僕の中に・・・
というのがそうです。
プルースト効果というのだそうです。プルースト現象でも良いのですが。
名前の由来は、ヴァランタン=ルイ=ジョルジュ=ウジェーヌ=マルセル・プルースト…長いな。
マルセル・プルーストというフランスの作家(美食家、エッセイスト、知識人等あります)が書いた、「失われた時を求めて」という作品の始まりからとられたそうです。
それ以外だと、無意識記憶というのだそうです。
何故嗅覚かと言えば、嗅覚のみが他の感覚と情報伝達の場所や方法が違います。
また、視覚は4つ。味覚が5つ。触覚も五つほど等、ほかの器官のアンテナってそんなに数が無いのです。
しかし、嗅覚は違います。
なんと、1000種類。どんなもんか分かりませんが、それ位発達した器官なんですって。
嗅覚は、五感の中でももっとも原始的な感覚で、睡眠中も休まる事が無いそうなんですよ。
話が逸れまくった。
この歌、いわゆる情事な歌なわけですが、読めば読むほど面白いです。
噛んだら許さないと言われたので、せめて背中に後を残してねとか言ってみたり。
せめて愛してると言えと言ってみたり、最後には「だから」とつけてお願いしてみたり。
これは、どういう解釈なんですかね。
こうやって抱き合っている間は、せめて愛していると言って欲しい。
君に痕を付けられないなら、せめて僕の背中に付けて欲しい。
そうは思っても、結局顔も知らないし、名前も分からない。
終わった後に出ていく君を見送って、僕はベッドで死んでいる。
でも、君の匂いが残っている。
ん~。相手の人は既婚者ですか?
秘め事と跡をつけるなみたいな詞を見て、単純にそう思っただけなんですが。
結局、この詞で言いたいのは、名前すら忘れてしまうような女性だけども、その人の匂いを思い出すとその人への気持ちが溢れてしまうという事でしょうか。
Mӓrchen
文字化けしたらごめんなさい。
「メルヘン」ですね。
なんというか、ふんわりとした、幻想的な曲ですね。
歌詞も、なんか童話のようです。
曲を提供したのは、Robin Guthrie。ロビン・ガスリーさんですね。
元コクトー・ツインズのギタリストです。
昔、ちらりと聴いた覚えがあるのですが、ものすごく幻想的な曲が多かったなという印象です。
ヴォーカルの女性の声が、多分そんな印象を持たせたのでしょうけれども。
低くて、素敵な声ですな。櫻井さんの声が。
で、この曲のクレジットの作曲者に櫻井さんの名前が載ってますが、歌メロを櫻井さんが作ったのかな?
なんか、唐突に歌が終わりますもんね。
歌詞についてなんですが。甘い。なんか甘い雰囲気がします。
…すみません。童話みたいだと思った瞬間から、そこから先に進めない。
Fantasy
なんか、この曲は涙線にきますね。
懐かしいメロディというか。特にAメロ。
提供者は、Cube Juiceという宅録アーティストさん。
星野さんと一緒に「drops」やった、Cube Juiceさんですな。
なんか、この曲の櫻井さんて、櫻井さんなんだけれど櫻井さんじゃないみたいな…。
いや、何ていいますの?
この曲だけ、たとえば有線で流れたとしましょうよ。
気付けますか?私には無理です。
しかも、この音源の存在を知らなければ。
それで言えば、他にもあるかもしれないですけどね。
有線で、単品で流れて櫻井さんが歌っているとは気付けない曲。
浮遊感溢れる曲ですな。
櫻井さんの、淡々とした歌い方も好きです。
歌詞は…、「君」を夢見る歌?
ん~。「もう帰れない ふたりは」という歌詞に引っかかりを覚えるわけで。
帰れない事を後悔しているわけではないのですよね?
勝手な想像を毎回していますが、こっちでも。
思いを伝えあって、抱き合って、そこから先というのは、感情のぶつかり合いだと思うんですよね。
だから、思いを伝えて抱き合う、その前のただ純粋に相手を思うだけだった時には「帰れない」という事なのかな?
だから、嬉しいのだけれど切ない、そんな気持ちで涙が出ちゃったりしたんでしょうかね。
胎児
最初に。
あまり、ここの曲は書きたくない。
訳知り顔で、書きたくないです。
とか言いながら、結局書いちゃうのが私です。
では、参ります。
まず、この曲は詞が長いですね。歌詞カードが特殊なので分かりづらいですが、まるまる1ページ分。
その半分は、「愛している」という言葉で埋め尽くされています。
では、最初に提供者のご紹介です。
佐藤タイジさん。
おや、タイトルと読みが一緒です。
皆様、もうご存知ですよ…ね?
シアターブルックの佐藤タイジさん。
BUCK-TICKのフェスやトリビュートに参加されていました。
なんだっけ。この人ですか?
櫻井さんの事を、「午前3時からのギャグが冴えている」とか「メールのレスポンスが早い!しかも絵文字付き」とか書いた方。
いや、とても好きなノリです。
で、ここでの櫻井さんは、初っ端から声がハスキーです。
キーが高いのを、ファルセットなしで出しているせいだからなのか何なのか。
私を驚愕させた歌唱スタイルでございます。
他の曲もそうですが、この曲を聴いた時に思ったのが、「本当に歌を歌う人になったんだな」という事でした。
いや、今までを否定しているわけじゃないのですよ。
今井さんや星野さんが提供する曲に合わせ、時にお二人からの要望に応えて歌っていた櫻井さんです。
たくさんのアルバムがリリースされていく中で、そして長い付き合いの中で培われたBUCK-TICK作曲人のある種の「クセ」というものを熟知しているが故に、BUCK-TICKの櫻井敦司という人は、BUCK-TICKの櫻井敦司というカテゴリーからはみ出ないようにしていたような気がするのです。
もちろん、彼が歌を歌いたいと今井さんに伝えなければ、そして今井さんと星野さんが曲を作らなければ、櫻井敦司という唄歌いは今日まで存在する事はなかっただろうと思うのです。
けれどそれは、単に「BUCK-TICK」というバンドのヴォーカルとしての評価しか下されない事と同意義でもあります。
しかし今回のアルバムで、一時的ながら「BUCK-TICK」からは外れた状態で、櫻井敦司本人の歌唱力が垣間見られたと思います。
でも、やっぱりBUCK-TICKの櫻井敦司に、尊敬と思慕の念が大量にあるというのは否定しませんし激しく肯定します。
さて、歌詞の話に…いきます。
あのですね。正直書くのが難しい。
色んなものが邪魔して、単純に歌詞だけ読んでみて~っていうのがしにくい。
そうですね。読むだけなら、この詞は、生まれて、そして成長した人の歌だと思うのです。
しかし、やっぱり避けては通れません。
そもそも、このアルバムの歌詞というのは、櫻井敦司という人の、その時までに積み重ねて来た年月という重たいものが表れています。
つまり、彼が生まれて、BUCK-TICKのヴォーカルになって、途中死にかけての2004年位までの歴史があります。
その中で、けして避けてはならず、そして避けられなかった事。
それは、彼自身に変革をもたらし、そこから逃れる事が出来ない出来事でした。
彼は、その出来事の後にその思いを歌詞に載せました。
それ以降、言葉を変え、文を変えてもその存在はあり続けました。
しかしある時、彼はこんな詞を書きました。
心が壊れていく 誰かを傷つけにいく
止まらない 止まらない 俺は行くよ
夜中に電話をかけた。でも、繋がらなかった。
ようやく繋がった電話で、彼は、「俺は行くよ」と伝えました。
そして「愛しているよ」とも。
その決心の表れ、それがこの「胎児」です。
何行にもわたる歌詞も、半分以上が「愛している」で埋まっています。
この歌詞には、二つの誕生があります。
生まれたばかりの自分と、成長して生きていく自分。
生まれて後悔した事はいっぱいある。でも、もう戻れないなら、行くしかない。
だから、今夜、「僕」は行くんですね。
何にも負けず、誰かを傷つけるとしても、強く生きていきます。
だから、体には気を付けてくださいね。
書いていて、何を書きたかったのか本気で分かりません。
ああ、旅立ったんだな。飛んでったんだな、彼は。
「ママ」から。