「memento mori」の中の対。
それが、「アンブレラ」と「セレナーデ―愛しのアンブレラ-sweety‐」でございます。
私は当初、とある事を知らずに「アンブレラ」の感想文を書きました。
それは即ち、「アンブレラ」は「蝙蝠」と「傘」の歌であるという事です。
人の歌だと思いきや。考えすぎたのですかね。いや、鈍感だから気付かなかったのですね。
現在アップしている「アンブレラ」の感想文は、「蝙蝠」と「アンブレラ」が人である事を前提に書いた、そのままで掲載しています。
で、今回は、もう一度「アンブレラ」の歌詞を見直し、そして、「アンブレラ」と「セレナーデ―愛しのアンブレラ」の関係を考えてみようと思います。
まずは恒例のwiki先生にご登場頂きます。
コウモリ(wiki)
コウモリ(蝙蝠)は、脊椎動物亜門 哺乳綱 コウモリ目に属する動物の総称である。
「コウモリ」の名は古語に「かはほり」「かはぼり」と呼ばれたものが転訛したものである。
別名に天鼠(てんそ)、飛鼠(ひそ)がある。
コウモリ目は翼手目(よくしゅもく)ともいう。
約980種が報告されているが、その種数は哺乳類全体の4分の1近くを占め、ネズミ目(齧歯類)に次いで大きなグループとなっている。
極地やツンドラ、高山、一部の大洋上の島々を除く世界中の地域に生息している。
蝙蝠って、哺乳類なんだ…知らなかった。
続いては別サイトからの転載です。
コウモリは、大きいコウモリと小さいコウモリの二つのグループに分けられます。
大きい コウモリは全体の18%、残りはみんな小さなコウモリのグループに入ります。
<大きなコウモリの特徴>
◆目は大きく、よく見える
◆夕方まだ明るいうちから活動し、超音波は出さないものが多い
◆果実や花粉、蜜などを好んで食べる
◆熱帯、亜熱帯に分布する
<小さなコウモリの特徴>
◆目は小さく、よく見えない
◆夜行性で超音波を出す
◆ガなどの昆虫を食べるものが多い
◆世界中に分布する
こんな感じ。
因みに、蝙蝠の中で吸血(実際は皮膚を傷つけぺろぺろ舐める)する種類はほんのわずかなんですって。
さて、蝙蝠は夜行性です。
なぜ夜行性か。
哺乳類は、かつて夜行性でした。昔は、昼間は恐竜類に支配されていたので夜に活動していたんですって。
その後、恐竜が滅んでからは昼間活動した方が有利な生物だけが昼行性になったんですね。
また、コウモリが空を飛べるように進化した時には、昼は鳥類に支配されていた為、コウモリはそのまま夜行性になったのです。
話が逸れました。
以前は「人」として読んだ「アンブレラ」ですが、これより「蝙蝠」と「傘」として読み解く事にします。
まず、最初の4行。
「底は雨降り」と「逆さ吊りの堕天使」は掛けてありますね。
蝙蝠は、休む時にぶら下がりますから世界が逆転するんですね。
雨の日に、「愛しの君アンブレラ」に出会ったと。
最後の行の、
「夕日に映える影の移動は 宙返りのアンブレラ」
なんですが、「夕日に映える影の移動」が夕日が照らす人の影で、宙返りは畳まれた傘の意味かなと。
次の2行はちょっと飛ばしますね。
夜明けにフワリ 一人蝙蝠 イカロス気取りで飛んだ
こちら。
「蝙蝠」は、本来なら外敵のいない場所へと寝に帰るはずなのに、夜明けにどこかへ飛んで行こうとします。
しかも「イカロス気取り」で。
イカロス。
「勇気一つを友にして」という歌をご存知かと思います。
イカロスは、クレタ島の王ミノスの不興を買い、父ダイダロスと共に幽閉されてしまいます。
彼らは、蝋で羽根を固めた翼を作りそれを用いて脱出しますが、調子に乗ったイカロスは父の警告を無視して高く飛び続け、太陽の熱で蝋を溶かされ墜落死してしまいます。
なぜ、「イカロス気取り」なのでしょうか?
実は、サビの部分までキーワードである「太陽」が出て来ません。
しかし、ここで「太陽」にまつわる存在が出て来ます。
本来は、飛ばした2行の所で出て来るんですけれども、ここはまた「太陽」と関係しているようでちょっと違うかなと読んだので除外します。
「イカロス気取り」は、「蝙蝠」の決意なのかなと思います。
これは、Bメロ部分やサビ、そして最後の行が関係してくるからそう感じたったんですけれども。
続いて、「背中に生えた~」の部分。「真っ直ぐ」と書かれた時点で、「蝙蝠」には迷いが無いように思われます。
では、ここから飛ばした2行及びBメロ4行を読んでいきます。
「熱い 燃える 灼けそうだ」なんですが、「蝙蝠」は本来夜行性で、昼間は寝ているんですよね?
ここで書かれたこの詞は、「蝙蝠」が経験した事の無い温度を書いているんですね。
即ち、サビに出て来る「太陽」の熱。
ある年のオーストラリアの夏。あまりの暑さにコウモリが大量に死んだそうです。
コウモリは暑さに弱い。
ですが、「蝙蝠」は「熱い」と言いながらも飛んでいきます。
何故か。
夜では見る事の出来ない、雨の日では見る事が出来ない光景を目の当たりにしたからです。
光の渦 風の色
これを、「君に見せたい」のです。
何故なのか。
「傘」を用いるのは雨の日が主です。日傘もありますが、「蝙蝠」が「アンブレラ」に出会ったのは「雨降り」の日。
だから「アンブレラ」は日傘じゃない。あ、兼用とか言いっこなしですよ?
雨の時にしか現れない、外に出られない「アンブレラ」の為に、「蝙蝠」は朝に飛ぶんですね。
しかし、なんで「止まらない」のでしょうか?何が「止まらない」のでしょうか?
これは想像でしかない(というかほとんど想像で書いてるんですけどね)のですが、明るい日の下の景色が、「蝙蝠」にとって素晴らしかったからかなと。
こんなに素晴らしい景色を、「アンブレラ」に見せたい。
その事に夢中になって、「蝙蝠」は飛ぶ事を止められないし、「止まらない」のかな。
「3つ数えたら」は、そのままだと思います。
真夏の朝陽に黒い花が咲く
は、「太陽」に向かって飛んでいく「蝙蝠」の描写ですね。
さて、後半のBメロについて。
前半に出て来た「君に見せたい」は、もう出て来ません。
何を言っても、「君に逢いたいよ」になってます。
ここで、気になる文章が出て来ます。
もどれない
これ。もしかすると、「イカロス気取り」に掛けてありますか?
何とはなしに書いたように見えるオーストラリアのコウモリ大量死。
一応、意味があるんですよ。
オーストラリアの真夏に当たる2002年1月12日、日当たりのいい木の上部からぶら下がっているコウモリが暑さにどう反応するかを観察したところ、まず、コウモリたちは日陰を探し、続いて体を冷やそうと羽をばたつかせ始めた。
数時間たつと息が荒くなり、間もなく唾液(だえき)を垂らし始めた。最後には、木から落ちるコウモリが出始め、10-20分後に死んだという。(毎日新聞)
このコウモリ達は、地球温暖化による熱波の影響で死んでいます。
「蝙蝠」は、自らの意志で「太陽」に向かって飛んでいきます。しかも、「真夏」に。
「イカロス気取り」とは、「蝙蝠」が己を「太陽に近づきすぎて羽根を溶かされ落ちていったイカロス」と自嘲しているんですね。
必ず、そうなるだろうと思って。
でも、彼は「アンブレラ」の為に飛ぶんですね。
イカロスの様に落ちていくだろうと分かっていても。
そして、彼の最後の描写。
真夏の朝陽に黒い花が散る
「アンブレラ」が「傘に恋した蝙蝠の歌」であると知った当初。
この部分は、太陽に向かって飛んで行き、姿が見えなくなる「蝙蝠」の姿を描写していると思っていました。
もしかすると、そうかもしれない。
でも、ここまで来ると、この場面は「散る」=「死ぬ」と思えて仕方がないのです。
「蝙蝠」は、きっと「アンブレラ」に対して問いかけているんだと思うのですが、「一瞬だろ?」と聞いています。
何が一瞬なのか。
通り雨
過ぎる刹那のonly you
ここに、繋がるかもしれません。
今回はここまで。
次回のお話ですが、ヒントは「大事な人がいなくなってしまった」です。
では、ぶった切り失礼します。