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茨城の地方紙『WAGAYA LIFE』2013 夏号[創刊号]』『イバライガー』誕生秘話という記事が掲載されました。


明日のことより、今、困っている人を助ける。誰にでも手が届く「本物のヒーロー」を目指して…

イバライガーは県や市町村の公式キャラクターではない、個人規模の自主活動。

 「時空戦士イバライガー」は年間200回近くのステージショーなどに出動するほど、毎週末はどこかのイベントで必ずと言っていいほど見かけるようになってきた。今でこそ茨城県内の「ご当地ヒーロー」として多くの方に認知されるようになってきたが、実はイバライガーは県や市町村の公式キャラクターではない。ヒーロー好きの仲間たちによる個人規模の自主活動なのである。これまでの活動が積み重なった結果として地域のヒーローとして認められているというのが”リアルなイバライガー”なのだ。
 現在では代表を卯都木さんが務め、賛同者約30人が参加する「茨城元気計画」としてイベントなどを企画・運営しているが、当初は卯都木さんがたった一人でスーツを着て、ラジカセを持って出掛ける、というところからイバライガーの活動が始まった。そこから一人、また一人と仲間が集まり、理解者・支援者も生まれ、現在に至るのだが、そもそもなぜイバライガーを始めたかと尋ねると「ヒーローになりたかったんですよ」とあまりにもシンプルな答え。
 「でも私たちはコスプレがしたいのではなくて、ヒーローでありたいんです。志したのは昔から子供たちがテレビやマンガで憧れていたヒーロー。だからヒーローを呼ぶ声を聞けば、養護施設にも、病院にも、自宅にも、イバライガーは駈けつけます。本当に会える、来てくれると信じられるヒーロー。それがイバライガーだからです」。

資金難でも出動し続ける。どんな時でもヒーローでいたいから。

地道な活動が実を結んできた矢先、2011年3月11日に東日本大震災が起こる。卯都木さんをはじめとする茨城元気計画のメンバーが事務所の井戸水を近隣住民に提供したり、震災2日目からは飲料水など支援物資を車に積み込み、県内の避難所などを回り始めた。
 「本当は震災が起きたばかりで被災者の方々に受け入れられるか不安でした」という思いとは裏腹に、イバライガーの姿を見た子供たちはもちろん、大人まで大喜び。その後、約2か月にわたって避難所などの訪問を続けた。
 その一方で震災の影響で活動資金として欠かすことができないイベント出演料が軒並みキャンセルになり、一気に資金難に陥ってしまったのである。現在は震災前の状況に戻りつつあるが「実は最近も事務所の電気がとまっちゃったんですよ」というくらい、資金繰りは厳しい。復興支援活動のために借りたお金を現在でも返済し続けている状況だ。「あと少しで借金も返し終わるのでやっとイバライガーも復興ですかね」と卯都木さんは笑った。
 こんな状況でも当初から続けてきたボランティアはスケジュールが許す限り今も欠かさず行っている。「そうした活動は、出演料をいただかない、いや、貰ってはいけない出動で、しかも絶対に行かなくてはならない出動です。交通費がなくても、電気代が払えなくなっても、これを断ったらヒーローじゃない。」
 他の人から見れば自主活動なのだから辛ければやめてしまえばいいと思うのが普通だが「でもやっぱり、我々はヒーローが好きなんです。みんなを応援し、元気を分け合う喜びを感じていたい。無謀だろうが無茶だろうが、やめられない。諦めたくないんです」。

これからの未来を担う子育て世代の親御さんへのメッセージ。

 呼べば必ず来てくれる。いつまでも手の届くヒーローでありたい。そんな卯都木さんにこれからの未来を担う子育て世代に向けてメッセージをリクエストすると、「実は親のほうが子供に育ててもらっていると思うんですよ。だから、挫折したり失敗したりしても立ち止まらずに前を向いて進んでほしい。何度でも立ち上がればいいんです。そのような成長していく姿を子供はちゃんと見ていますから」。
 子を持つ親としては心にズシリと響く言葉だろう。
 最後にこれから活動していきたいことを聞くと「トライク(イバライガーが乗る3輪バイク)に乗って地域パトロールや、誰もが気軽に何でも相談できるイバライガーポストを設置したり、これまでの活動を話せるような講演活動をしていきたいですね」ということだった。
 もっと身近に、もっと触れ合えるように。イバライガーの闘いはこれからも続く。
                                     (『WAGAYA LIFE』2013 夏号[創刊号]より転記)』  


イバライガーは2007年より活動を開始しました。手作りのスーツでたった一人、音響は手持ちのラジカセ…。それでも少しずつ賛同者も増え、新たな活動の場を広げようとしていた矢先の2008年、ヒーローを演じていた卯都木氏本人が著作権違法で逮捕されてしまいます。タイアップが決まっていたポスターの回収やイベントなど当然キャンセルにせざる得ない事態…、それでもこの時、イバライガーを採用してくれた企業は彼らを使い続けるリスクを引き受けてくれたのでした。
そして2009年、活動をしていた卯都木氏本人はイバライガーを演じることを辞退せざるを得ない状況でしたが、『イバライガー』は某広告代理店に商標権を譲渡し、新たな活動を始めます。この広告代理店はイバライガー支援を申し出てきた筑波大のOBや学生たちを中心とした『茨城ヒーロープロジェクト(IHP)』と活動資金や給料を提供する契約を交わしましたが、最終的には大きな収益を見込めるプロジェクトではないと判断し、この契約をわずか10ヶ月で打ち切りました。広告代理店側はこのプロジェクトにつぎ込んだ1000万という金額を商標権の取り戻し料として要求しましたが、IHPはこの多額の金額を払ってまでイバライガーの活動を存続することは選ばず、このプロジェクトからの撤退を決めます。ですが、卯都木氏はIHPとの確執を抱えながらも、1000万の負債を背負い、イバライガーの商標権を取り戻して、ヒーローを演じ続けることを選びました。そして、資金難に苦しみながらも様々な活動を続けてきた中、自主製作の万引き防止ポスターの作成配布や防犯啓発活動への功績が認められ、茨城県警から感謝状を贈られるまでに至ったのです。


『時空戦士 イバライガーR』PV


参考HP:『イバライガー観察日記』