安倍政権では、お金を擦ってばら撒いてきた。
これで景気が回復すると思い込んでいるのか、あるいは、その場凌ぎの苦肉の策なのか。
民主党政権時代、焼肉屋の集団食中毒事件が起きた。
これを受け、政府は、レバ刺しやユッケの販売を禁止した。
私は、この政策をみて、お犬様を思い出した。
「お犬様」と言えば、徳川綱吉将軍時代に行われた「生類哀れみの令」のことである。
しまいには犬の命の方が人のそれより重んじられ、犬のために人が処刑されるところまで社会は荒れた。
綱吉といえばお犬様が有名だが、綱吉時代の愚策はこれだけではない。
もっとも問題となったのは、「元禄小判の鋳造」である。
新たに小判を鋳造したわけであるが、その際に、砂を混ぜ、金の比率を下げたのである。
つまり、少ない金で多くの小判を作ったわけである。
一時は、これにより、幕府の財政は潤った。
いや、正確にいえば、潤ったように見えた。しかし、このしわ寄せは、数年後に現れることとなった。深刻なインフレが起きたのである。
それは当然だ。
当時の日本は鎖国中だったので外貨を稼ぐアテもないのに、ありもしない金を多く見せただけ、これではいずれしわ寄せが来るのは明白だ。
安倍政権も似たようなことをしている。
デフレ脱却を狙ったあげく、また深刻なインフレを引き起こそうとしているのである。
本末転倒だ。
さて、先のユッケの件。
私は食に関してはプロの知識があるのでここで述べるが、ユッケで集団食中毒を受けこれを禁止した、というのでは、これも本末転倒である。
まずは、何故集団食中毒が起きたのか、それを考察するべきである。
私から言わせれば、これこそがデフレの影響だ。
そもそも、四つ足動物の刺身を「安価」で食べようとすることに無理があるのである。
安価にしようとした結果、店舗ではプロの職人が雇えなくなる。生肉会社の食肉管理も然りである。つまり、ユッケ食中毒は、プロの仕事が軽視されたことで起きたのである。
では、これに対し、どのような政策をとるべきであったのか。
結果から言おう。河豚料理と同様、四つ足動物の刺身に関して、免許制にするべきなのだ。
免許制にすれば、資格取得者の意地にかけて、中毒などの事故は起こらないよう最新の注意を払うことになる。また、免許制でなければ扱えないとなれば、肉刺身料理の価格も、徒らに下げる必要もなくなる。デフレ脱却につながるのである。
老子いわく、「法網で統べようとしても、民衆は法網の隙間を潜り、これを恥と思わなくなる」とのこと。
レバ刺し・ユッケが禁止になってから、桜ユッケなる「馬肉のユッケ」が合法として出されるようになった。牛肉の刺身より、はるかにリスクが高い。
そうでなく、「許してコントロール」をした方が、民衆は恥を知り、そしてそれはいずれ、景気回復にもつながるものと私は考える。