「ピエゾ素子」というのがある。別名「電圧素子」。

電圧を力に変換させる受動素子で、最近では振動型スピーカーなどに使用されている。

とても簡単に説明すると、音の信号を伝えると、こいつが変形するのである。といっても、大きく変形するわけではない。ほんの少し変形するのであるが、ほんのわずかなレコード盤の溝で音が再生できるように、音を再生するための「変形」は大きくなくても良い。

 

これまでロボットを動かすための機構としては、歯車的・ピストン的な考えが主流を占めてきた。

そういう考えを基に作られてきたので、例えば人型ロボットの場合、どうしても本物の人間とは動きが違う。一言でいえば動きが鈍いのである。

 

私は、ピエゾ素子のことを考えていて気づいた。

もしかすると、これを活用すれば、新たな機構が発明されるかもしれないのではないか。

 

骨と筋肉の関係のように、二重構えの機構でロボットを動かしてはどうか。

骨となる部分には基本的に形状の変化は必要ない。関節部には捻りや回転が可能な仕組みを施す。

そして筋肉部にはピエゾ素子(電圧素子)を使用する。といっても、使用する素子は小さなピースで組み合わせ、それで全体像を構築させる。正多面体のピースが良いかもしれない。ロボット細胞といったところか。

 

このピエゾ素子からなるロボット細胞のそれぞれに、音響的な信号(動きに対し、どのような音響的信号を与えれば良いのか、そのへんは研究と巧妙なプログラミングとが必要となるだろうが)を与え、個々のロボット細胞を変形させる。例えば、腕を曲げる動作の場合には、肘の外側のロボット細胞を一気に伸ばし、内側は一気に縮める。これによって、歯車的・ピストン的運動に比べ、格段に素早く柔軟な動きが実現するようになる。

 

ただし、ピエゾ素子を利用した場合、、、防音対策には苦労するかもしれないが。。

 

きっと、もっと人間的なロボットを開発するためには、これまでの延長線でのアレンジでは届かないだろう。上記のような、思い切った斬新なアイディアでなければ、無理なような気がする。