映画「シン・ウルトラマン」が2022年5月13日に公開されました。

 

『シン・ゴジラ』と同じコンビの作品という事で、制作されると知った時から楽しみんしていましたが、その主題歌をの米津玄師さんが作ると知って、さらに期待が膨らだものです。

 

映画の予告CMで流れるサビのなんと美しいこと。

 

飛び去って行くウルトラマンの画像に合わせて、「君が望むなら…」と流れる歌詞に、これまでのヒーローソングとは一味違うぞと思いました。

 

そして、映画公開当日MV解禁。

 

フルコーラス聞いて、まさにウルトラマンの世界観を現していると納得。

 

でも、1つ腑に落ちないのはタイトルの由来。

 

何でM七八なんでしょう。

 

ウルトラマンの出身地(星?)はM78星雲。

M87というのは、ウルトラ兄弟の長男「ゾフィー」の必殺光線の名前と同じなんです。

 

ウルトラマンの主題歌に、なぜこんなタイトルをつけたのでしょう。

 

実は、このタイトルは庵野秀明監督が提案したのだとか。

 

監督の提案という事は、庵野流のいたずらを感じますよね。

 

公開翌日に特撮マニアのダンナ同伴で、「シン・ウルトラマン」見てきて、何故このタイトルなのか、個人的に納得がいったので、その事をお話します。

 

  M八七は祝福する者とされるものの対話

 

M八七のMVはこちら。

 

 

CMで公開されているサビ部分だけだと、ヒーロー側のメッセージなのかと思ったのですが、公開されたMVの歌詞を見て、守られる側と守る側両方の心情なんだなあと感じました。

 

幼稚園の頃、ウルトランが大好きだったという米津さん。

 

オファーがあった時、ウルトラマンに祝福されてきたんだろうなと、思ったそうです。

祝福を受けるべきものと与えるべき者が対話していって、新しい何かを生み出していく。

そういった祝服の連鎖というものを、今回の主題歌に据えたい───

引用元:「シン・ウルトラマン」パンフレット

 

ネタバレになりますが、このメッセージと同じ状況が映画作中にあります。

 

危機的状況の中、ウルトラマン・神永新二が託したものを手掛かりに、祝福を受ける者たちが奮闘します。

 

この展開は、私的にはとても好きなパターン。

 

リブート元である「ウルトラマン」の終わり方には、個人的にもやもやしたものを感じていたので。

 

 

  庵野風ウルトラマンの終わり方

 

「ウルトラマン」は1966年に円谷プロが制作した子供向け特撮ドラマ。

 

TBSで初めて作られたカラー作品でもあります。

 

M78星雲で宇宙の平和を守る宇宙警備隊員であるウルトラマンが、護送中に逃走した怪獣ベムラーを追って地球へやってきたとき、地球を守る科学特捜隊のハヤタが操縦するビートルと衝突事故を起こし、彼を救うためハヤタと一心同体となって地球の平和を宇宙人や怪獣の脅威から守るという設定。

 

「ウルトラマン」という名前も、本名なのか定かではありません。

 

1万年以上も生きているウルトラマン。

 

彼からすれば、地球人はとても儚い生き物。

 

その儚い命のために、任務途中でありながら地球に残り、3分間しか本来の姿に戻れないというハンデを背負いながら外敵と戦うのです。

 

自分の不注意とはいえ、たった一人に命を奪ってしまった償いとしてはかなり不釣り合いな気がしますが、それだけ生命を重く捉えているのでしょう。

 

まさに、地球人にとっては救世主といった存在。

 

ドラマの最終回では、怪獣ゼットンに倒され、瀕死の状態に。

 

ゼットンは、科学特捜隊が開発した新型爆弾によって倒されます。

 

ウルトラマンに頼らなくても、地球人だけの力で外敵を倒せる力をつけたという事なんでしょうが、それじゃあ、これまで体張って戦ってきたウルトラマンの立場どうなのよと思ってしまうのは私だけ?

 

瀕死の状態のウルトラマンを迎えに来たのが、M87光線の使い手・ゾフィーです。

 

地球の事は人間に任せて光の国へ帰ろうと説得するゾフィーに、自分が離れたらハヤタが死んでしまう。

このまま地球に残りたいと切望するウルトラマンに、感動したゾフィーが漏らした言葉が映画のティーザーに書かれたあの言葉です。

 

そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン───

 

これもネタバレですが、ゾフィーもゼットンも映画に登場します。

ただし、庵野流の捻りがかかった存在として。

 

あのクライマックスを見て、庵野監督のウルトラマン愛の凄さを身に染みた次第です。

 

何故、監督がタイトルをM78ではなくM87で提案したのか…

 

それは、ウルトラマンと地球人との関りを、見守っていたのがゾフィーだったからではないかと、私はそう感じました。

 

 

  「シン・ウルトラマン」私はこう評価する

 

ネット上では、諸々の感想やネタバレ批評などをガチ勢が書き込んだり、動画配信していて、オタクじゃないと楽しめない雰囲気ができつつあります。

 

そこで、ウルトラマンは数話見た程度の知識、庵野秀明作品は「ふしぎの海のナディア」とテレビシリーズ「エヴァンゲリオン」を見た程度の私の感想をお伝えします。

 

確かに、ウルトラマンや庵野監督の作品や人柄に詳しい人が見たら、これほど楽しい作品はないだろうと思います。

 

ですが、全く知らないとイミフなのかといえば、そんなことないと思います。

 

原典である「ウルトラマン」のエッセンスを凝縮し、樋口・庵野両監督のこだわりを詰め込み、文字通り新しいウルトラマンが作り上げられています。

 

なので、むしろまっさらな状態で「ウルトラマン」がいる世界を体験できる映画です。

 

この映画を見て、元である「ウルトラマン」を見たら、特撮オタクたちが何に興奮してたのか理解できるかも。

 

この映画を見た後、ウルトラマンや他の庵野作品に触れるというのも、また違った楽しみ方ができると思いますよ。