永平寺を開山された道元さんの有名な教えに「愛語よく廻天の力あり」があります。僕はこれを、思いやりある言葉や励まし言葉は、人の心に大きな影響を与えるものだと解釈しています。
さて、僕は全国各地の自治体、企業、学校などに講演や研修で訪れ、旅人のような生活をしています。脱サラし、このような活動を始めたのですが、それまでは人前で、しかも大勢の方々の前で話をさせていただく経験などほとんどありませんでした。でも、どうしてもやってみたいという想いに駆られ(企業の管理職時代にパニック障害を発症したころ、世間では「心の時代」と言われ始め、メンタルヘルス不全が社会問題として大きく取り上げられるようになった時代を受けて、僕で何かお役にたてないかというのがそもそもの出発点)、自宅の部屋にホワイトボードを置き、姿見の前でカラオケ用のマイクを握って毎日90分ほど話をする自主トレーニング(聴講してくださる方が目の前にいるとイメージしての講演トレーニング)を200回以上はやったでしょうか。
それでも将来への不安がありました。大丈夫だろうか、家族を守っていけるのだろうか、と。何か誇るべき特別な実績もない僕が、講演活動を始める...そこに不安があって当然ですよね。安定した生活から不安定な生活へ飛び出すには、勇気が必要でした。
でも、僕は飛び出しました。そのきっかけは妻のひと言でした。「あんたやったら、やれると思うよ!」。うれしかった。僕にとっての最高の愛語でした。根拠のない自信だけど、僕はやれると心のエネルギーが上昇しました。そして、ご縁に感謝しながら、ひとつひとつの場所で全力投球しながら駆けつづけて現在に至ります。最近では駆けてばかりでなく、ときどき歩くことができる心のゆとりも増えてきたように思います。
元気や勇気というエネルギーは内側から発することも大事だけれど、いつも出し続けることは出来ません。一方で、元気や勇気というエネルギーは外側から、つまり人からいただくことがありますね。だからこそ、思いやりある言葉や励まし言葉、ほめ言葉、感謝の言葉、ねぎらいの言葉などをキャッチボールすることはお互いの笑顔や元気にとって、とても大切だと思っています。
僕にとっての最高の愛語。妻からのひと言だったわけですが、そのことを妻に言っても「わたし、そんなこと言った?」「覚えてないなぁ~」でございます。人生とは面白いですね。愛語とは受け取った側の宝物なのでしょうね。
講師活動も14年続けております
まだまだひよっこ。まだまだこれからです