宇宙の話なのかな?と思っていたら全く違った。
「平和警察」なる警察の部署がある。彼らは「危険人物」を市民の中から探し、拷問し、公開処刑にする。(伊坂さん、拷問多いよなぁ)
危険人物の定義は彼らが決める。そしてその部署にはサディスティックな傾向のある人物ばかりが集まる。
人をいたぶり、そして見せしめのように罪のない市民達を処刑していく。
危険人物と見なされ、連行されていく弱者である市民たち。そして平和警察に便乗し、イベント感覚で盛り上がる野次馬達。
警察、一般市民、様々な視点で物語は進んでいく。
「正義」と「偽善」。それらの違いは難しい。
重要人物である、理容師・久慈の祖父が過去、自殺においやられた話や、父の過去の救出劇などのエピソードも効いている。
この話を読んで、「ペイフォワード」と言う昔の映画を思い出した。
確か、主人公は少年で、誰か他人に善い行いをする。見返りを求めずに。そうすると、その善意を受けた人間も、
同じように他人に善い行いをする・・・。というように、善意を連鎖させていく・・・ということを啓蒙する話だったと思う。
人は、見返りを求めてしまう。仕事をするのも、根本はサラリーをもらって食べていく為だし。
また家族や友人など、親しい人に善い行いをすることはあっても、そこまで関係の深くない知人、ましてや他人に同じような行動がとれるかと言ったら、
それはマイノリティーだと思う。
物語自体は、ノンフィクションだし、あり得ない話だけど、人間の心の裏側をついた話だと思った。
後半の展開は私の好みだ。誰が味方で、誰が敵か。翻弄されたけど、鮮やかな終わり方だ。
キーワード
「会議やプレゼンで発表をする時にやっちゃいけないことが何だか知ってるかい。一番は自分の用意している情報を全部先に発表しちゃうことだよ」
「自分から率先して発表したものよりも、他人から言われてすぱっと回答してみせたほうが、『できる』と思われる」
「みなを助けることはできない。一人を救えば、ほかの全員を救わなくてはならず、その公平性を確保できなければ、偽善、と糾弾されてしまう。」
「ある組織の方針を変えさせたいと思ったら、どうしたら良いと思う?役に立つ人間を、組織の上層部に送り込む。出世させてもいい」
「振り子の揺れを真ん中で止めることはできないからね。大事なのは、行ったり来たりのバランスだよ。
偏ってきたら、別方向に戻さなくてはいけない。正しさなんてものは、どこにもない。スピードが出過ぎたらブレーキをかける、少し緩めてやる。その程度だ」