数日前にゴールデン・グローブ賞の授賞式で、
某次期大統領を堂々と批判し、
直ちにハリウッドで最も過大評価されている女優の一人と
ツイッターで反撃されたメリル・ストリープ主演の映画。
実在の音痴の歌姫、フローレンス・フォスター・ジェンキンス(1868-1944)
小さい時に音楽家になる夢を家族に反対され、
結婚した相手から病気をうつされて、ピアノが弾けなくなり、
莫大な相続財産をNY音楽会に投じ、
絶世な音痴ながら、歌手を目指し活動、
76歳でカーネギーホールの舞台に立ち、
(チケットは2時間で完売。ホールの外には、入りきれない群衆たちが押し寄せたという)
命がけのそのコンサートの1ヶ月後に他界された。
その公演は今も、カーネギーホールのアーカイブ人気No.1である。
春には、「偉大なるマルグリッド」という、フランスで制作された
同じモデルの映画を観て、このアメリカ版を楽しみにしていた。
今回のほうが実話に近いのだが、
映画のトーンは、なかなかに近い。
おかしいけど、どこかもの悲しい。
アメリカ版ではもっと、ユーモアを期待していたのだが。
しかし、メリル・ストリープ演じるジェンキンスの歌、
音痴の様子をよくあらわしているが、
音程以外の発声はさすがによい。
体から声が出ているし、息もよく続いていた。
それに、クラシックコンサートでMCは多くないにしても、
音程の間違いをこえる、人々を魅了する何かがあったはず。
そして、自分の命をかけて、
2800人収容の憧れのカーネギーホールを満員にする、
その挑戦する行動力に、感銘を受ける。
(そういえば、ちょうどこれから、X JapanのYOSHIKIがここでコンサートをするらしいですね。見てみたいな〜)
ディテールでも、
ヒュー・グラントの「Sing Sing Sing」のダンスが素晴らしかったのと、
若い伴奏者のコズメ・マクムーンとピアノを弾くシーンにはホロリとくるし、
びっくりするのは、これが第二次世界大戦中の話であること。
当時の日本の状況とはまるで違う。
マダムの公演の翌日の新聞の大見出しが「Japan Loses Sea Power」
ほんとに、なんでこんな国と戦争をしようなどと思ったのか、、、
それにしても「軽蔑は軽蔑しか生まない、暴力は暴力しか生まない」
某次期大統領の夢とは何なのでしょう?
星3つ。