「ハーフ?それなら期待に応えるように外国語話さなきゃね笑」
「一般職の女性って、総合職の方との結婚がゴールじゃないですか〜」
偏見まみれの女が、ヘラヘラしながら毒牙を突き刺す
社長秘書から始まったその女の経歴はずいぶん立派だった
SNSには水着の写真をあげ、無数のくたびれた男からいいねをもらう
「一度結婚して離婚した人は未婚という扱いか」という愚問に新入社員は爽やかに「未婚だと思います」と答えた。
その時の表情が引き攣っていたのを私は見逃さなかった。
「ま、まあ結婚を一度したということは、未婚の女性とまた、ちょっと違うと思いますけど」
と小さな声でぼやいた女の顔は醜かった
刺激のある毎日には
SNSは見るのが精一杯で
仕事とプライベートの境界線が自分でもわからない
脳の切り替わりが悪い
甘い感情を持ってしまうと、泣いてしまいそうで
弱音を吐いてしまいそうで
私はいつも過去を振り返ることができないのだ
楽しそうに海辺を歩いていたあの頃も
大人数で酒を飲み交わしていたあの頃も
写真を一枚見ただけで思い出して
自然と涙が出てくる
切り替えられない私の脳は、それを見た瞬間アイスのように溶けてしまいそうなのだ
わたしは徐に午前7時にアラームをセットした