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靴下に指が一本一本分かれてる奴あるじゃないですか。
手袋の靴下版みたいなやつ。いかにもオッサンが好みそうでいかにも臭そうななやつ。
大学の頃の友人と飲みに行ったら一人がそれをが履いていたのですよ。落ち着け、と。
お前、まだ入社2年目なのに、お前、包茎なのにそれに手を出すには若すぎるだろうと。
しかし彼は言うんです。見た目で判断するな、騙されたと思って一回履いてみろ、と。
履くかアホ。事前と言わず事後までも終始一貫「騙された」で終わるのが目に見えてるっつーの。
しかし彼は、包茎なのにもかかわらず、その靴下を異様に勧めてくるんですよ。
何かに取り憑かれたように。私のカナブンの死骸を見るような眼差しにも気付かずに。
「わかった、履いてみるからそれ貸せよ・・・」
「え?これ?うん、いいけど」
窓からオーバースローで事無きを得た
