手術着の下はたしかすっぽんぽん、だった気がする。
たしか。あんまり覚えていない。
ものすごく緊張していた。だって、おなかを切るんだし。
つい昨日までは普通に経腟分娩するもんだと思っていたので
心構えが…。。。
大体、おなかを切る、っていう感覚がよくわからない。

どういう状態でどういう風に切られるんだか。
義姉が帝王切開だったので聞いておいたけど、やっぱりよくわからない。

手術室に入って、腰椎麻酔を受ける。
これもすごくこわかった。腰椎麻酔で変な麻痺とかなったらどうしようって。
(よく聞くからさ…。)

麻酔科の先生に、
「背中を丸めて横になって、背骨が浮き出るようにね。
絶対に動かないこと。」
と言われて、できる限り台の上で丸くなる。
おなかが邪魔でうまく丸くなれない。
看護士さんが手と足をぎゅうっとつかんで保定してくれる。

背中に、ちくん、と感覚があって思わずのけぞりそうになる。
先生に怒られる。
またちくん、ときてのけぞる。くすぐったいような感じ。
反射みたいなもんで、なかなかうまく我慢できない。

「今から麻酔入れるよ。足がぼーっとあったかくなるよ。」と
麻酔科の先生にいわれて、いくらもしないうちに足がぼわっとしてくる。
「感覚あるかな?気持ち悪くない?」と聞かれる。

気持ち悪くはなかったけど、足を伸ばしてほしくて
「足が曲がったまんまなんで伸ばしてください。
 だるくてつらいです。」
と訴えると先生が、

「足は両方ともまっすぐになってるよ、曲げた状態で
 麻酔をかけたから脳が曲がってる状態を記憶してるだけだよ。」
と。

そんなこと言われてもどうにも足が曲がってる感覚なのは治らない。
結局この感覚のまま開始。
ものすごくいやな感覚だった。
足を折り曲げたままでおなかが切られる感触…。。。

始まる前に、助産師さんが近づいてきて、
「ぎゅうっと押し出す感覚があるから、ちょっと痛いかも。
 すぐに赤ちゃんが出てきたら、ココモさんのほっぺたに
 くっつけてあげるからね。楽しみにしててね。」
と言ってくれる。

担当の先生登場、
「はじめまーす。」
と言って、すぐにおなかをすっと切られる感触。
痛くはない。
皮がなぞられるような感じ。

そのあと、胃袋から腸から、ぎゅうぎゅうと引っ張られる
感覚が連続。
内臓が下のほうでぐううっと引っ張られる。
ものすごく気持ち悪い。
ゆっくり呼吸する。

「はい、産まれるよ~。」
という声といっしょにずるっ、と引っ張られてなにか出た感触。
泣き声。

「はい、男の子ですよ~。」
といって、ぺたり、と顔をつけてくれる。
かわいかった。
触りたかったけど、手が動かせなかった。
涙が出てくる。純粋に、感動の涙だと思う。

余談だけど、自然に涙が出てくるもんなんだなあと
冷静に思ってる自分もいた。

「はい、お母さん、泣いてる場合じゃないよ、これから
処置するからちょっと痛いよ!頑張って!」
と言われてチビ太は連れて行かれた。

そのあと、ものすごい下腹部の痛み。
なんていうのか表現できないけど、内臓がぎゅうううううっと
しぼられるような痛み。

わたし「痛い、痛いです。」
先生 「我慢できない?寝る?寝たら2時間くらい起きられないけど。」
わたし「…寝ます。」

そう言った瞬間、すうっと寝てしまったみたい。

本当は、寝ないでそのままチビ太と一緒に帰りたかったけど
痛くてとても耐えられなかった。
産まれたばかりのチビ太を見られたのはちょっとだった。

わたしは寝たまま病室に移動した。(らしい)
チビ太は産着に着替えて、帽子をかぶってる状態で
先にオットと母のもとにつれてこられたそう。

目が覚めてからは、つづくっ。