入院した病院を急遽退院して、大きい病院の年内最後の外来のセカンドオピニオンを受けられることになった。
タイミング的にちょうどよく最後の外来に間に合ったのは、入院した病院の担当の先生が直接大きい病院にコンタクトを取って下さり、夫のデータをすべて送ったり手配をしてくださったおかげだった。
セカンドオピニオンをしたいという旨を伝えるときも勇気がいったけど、私も夫も納得のいく治療がしたかったので結果的には伝えて良かった!
セカンドオピニオンの日。
大きい病院は今までの病院と比べ物にならないほどの患者さんの数と大きな規模。
こんなに世の中には癌を患って治療している人がいるんだ…と驚いた。
緊張しながら順番を待つこと数時間。
夫の番がきたので、一緒に診察室へ入る。
夫のレントゲンを見ながら先生は淡々と話を始めた。
先生「大腸の方も肝臓の方もまとめて切っちゃった方がいいと思う。」
夫「…」
私「腹腔鏡ではなく開腹ですか?」
先生「そうだね。ステントも入っているままだから早い方がいい。」
夫「…」
私「年明けいつ頃になりますか?」
このようなやりとりだったと思う。
夫は先生の話が進むたび頭が真っ白になってしまうらしく、すぐに受け答えができない様子なことが多かったので、そのような場ではだいたい私がメモを取りわからないことはどんどん質問をしていた。
そうだよね。自分のことになると頭が真っ白になってしまうよね。
私も自分自身の身に起こったら夫のような反応になってしまうんだろうな…
そんなことをよく考えていた。
自分自身のことではないからこそ冷静になれる。私がしっかり話を聞かなくては!と思っていた。
とりあえずは夫のレントゲンは前の病院で撮影したものなので、さらに詳しいレントゲンの検査が必要とのことで年内ギリギリに予約を取った。
そして年始すぐの結果で手術日や手術の詳しい方法が決定する。
夫の原発の癌は結腸にあり、肝臓に転移している。もし肝臓の癌が散らばっていたら肝臓の切除はできないので抗がん剤を行うことになる。
年始の結果を聞くまでは落ち着かない…
でも、年末年始は家族で過ごせる。
それだけは闇の中にある小さな光のように感じた。
ただ家族が穏やかに一緒に過ごせる、当たり前のようで当たり前ではないことに気づかされた年末だった。