拭き掃除をした玄関。
お水をあげた小さなプラント。
少し片付けた机の上。
何のために
変わり果ててしまった街。
戻ることはない。
その街のことを、どれだけの人が思い返していますか。
その故郷を今も思い描き、そこの空気を感じますか。
何人もの人が、今は、
違う場所で
違う世界で
違う時間軸で
その土地を思い描き想像していることを思ったのです。
それは、大きく確かなものとなり、
その先には
蘇るかのように、そして本当に存在するようになると思ったのです。
ユートピアとは、失ったあの場所のことを言うのではないかと。
いつでも行くことができる、あなたの場所。
誰にも侵されず奪われず、美しいまま。
その場所を、そっと私も想像してみます。
もう何にも侵食されない、
温かい光がそこにありますように。