能力のあるやつにははじめから勝てなかったり、
努力しても全然うまくならなかったり、
嫌な思いも苦しい思いもいっぱいあるのに、
いったいなんで野球するんだろう?
…の基本のキホン。
「野球が好きだから」
秋丸君って、たぶんこの話に出てくる名前のついてる選手の中で、
たぶん一番もともとそんなに野球が好きじゃない子なんじゃないですかね。
本人も言うとおりのことなら、秋丸君が好きなのは榛名君なんですよね。
もし言われなければ秋丸君は野球も捕手もしてなかったろうし、
それがサッカーだったらサッカーをしてたんでしょうし。
秋丸君にとっては、野球も駄菓子も好きなプロ野球チームも高校も、
それが親友の榛名君と一緒にいるための「手段」であって、
そう思えばやってもいいかと思える範囲のものなら榛名君に合わせてきたけれど、
自分が選んだ自分が大好きなものなわけじゃなかった。
それで、実際榛名君はそうだったんでしょうけど、秋丸君が大好きなものとかやりたい事に、
榛名君のほうがあまり興味がなくても合わせて付き合ってくれるなんて可能性はありえ無いとも思ってて。
でも俺だって別に手下でも子分でもないぞ、とは思うから、
自分のしたいことや自分自身の将来に必要なことでお前に関係ないことは勝手に一人でするよ
…塾だってグァム旅行だって、みたいな。
そんな中で榛名君は榛名君で、秋丸君と一緒にバッテリー組んで、
一緒に野球に熱くなろうぜって小学生のときなんかはそんな感じだったのかもしれないけれど、
やっぱりそういうことが続く中で秋丸はいつも俺と同じ気持ちで付き合ってくれるってわけでもない、
って諦めていって。
でもきっと、榛名君がプロ野球選手になろうと、ほかの何者になろうと、
いずれお互い人生の道が分かれていくのはしょうがないけれど、
一生自分は友人で理解者であるつもりだし、できるかぎりのことはつきあうよ、とも秋丸君は思ってもいて。
中学で榛名君が荒んでシニアにいったあたりで、
ほんとに秋丸君は何を思ったんでしょうね。
ずっと自分のヒーローだった榛名君の挫折と今までとは違う一面を見て、
親友だと思っていたのに力にはなれなかった自分のことを思って、
シニアでほかの人の力でゆっくりと元に戻っていった榛名君を見て。
本人だってこわかったんだもーん、とか言ってましたが、
もしかしたらそこでまた一つ何か諦めてしまったのかもしれないですね。
自分は榛名にとってはそんなもんだ、と。
こうしてこいつが当たり前に投げてることを俺はタカヤに感謝する。
悲劇に心を痛めつけられ離れていった友人を窮地から救い上げたヒーローに惜しみなく感謝を贈る友人A。
なぜ、そのヒーローの役は俺じゃなかったんだろう、とは、
あの時の秋丸君は思わなかったわけですし、
榛名君もおそらく助けてくれよ、秋丸とは言わなかったのでしょうから…。
まあそして結果的にヒーロー役だった人たちもそんなことは知らないんだけど、それは置いておいて…w
2年生が二人しかいなくなる武蔵野。
細かいマネージメントや手続きやら采配はどう見ても苦手そうな榛名君。
まあそんなこしょこしょしたことは秋丸君言われなくてもしてくれそうではありますが、
「榛名はどうせやりたいよーにやるだろうから、適当に気付いたとこをフォローしてやろう」としか思わないなら…
実力は申し分ないとしても、
控え投手を育てなければ、全力投球すらままならないし、
ピッチング自体も町田さんなきあと秋丸君が捕球以外のことをがんばってくれないなら,
やっぱり夏大の時のように、「ランナーいてそんな恐いことしねえ」と阿部君が言ったような状況でも、
秋丸が捕手じゃ転がしたらそのほうが怖いから高目勝負で投げ勝つしかない、と選択したみたいに、
やっぱり榛名君は全部一人で考えて一人でチームを引っ張るしかない。
秋丸君が変わらなければやはりチームでもマウンドでも一人。
それでうまくいくはずないなんてことは、榛名君にだって多分やる前からわかってることで。
これからの武蔵野をなんとかするにはこいつをどーにかやる気にさせないと、
って榛名君が言うのはほんとのことなんですが、
その言い方をどーにかしないと、秋丸君にも何にもわからないというかw
ついてきたきゃ勝手に俺についてこい、今までもそうだっただろ、ではなくて。
もっと野球に真剣になれよ、でも俺と同じ気持ちになれよ、でもなくて。
きっと命令ではなくて、「お願い」。
頼むよ、力になってくれ。本気の全力で、俺を助けてくれよ、と榛名君が言えれば。
もしくは、諦めたとか言いながら、心の底ではずっとそう言いたかったんだと秋丸君がわかれば。
そしたらそこからはきっと、
秋丸君は自分のために頑張れるんじゃないかな。
今度こそ秋丸君が榛名君のヒーローになって親友のお願いを叶えてやらなくちゃいけないターンがそこから始まるんですから。
