座右の寓話  第49話






ここはコスタリカの
小さな漁村である。


1人のアメリカ人
旅行者が桟橋に
係留してあるボートに
近づいていった。




ボートには
大きなかじきまぐろが
数本入っていた。




旅行者は猟師に尋ねた。




何時間くらい
漁をしていたの?



漁師は  


そんなに長い時間じゃないよ

と答えた。




もっと漁をしていたら、
もっと魚が
獲れたんだろうね。
惜しいなぁ。




自分と自分の家族が
食べるにはこれで充分だ。




じゃあ、余った時間は何をしているの?




日が高くなるまで
ゆっくり寝ていて、
それから旅に出る。

戻ってきたら
子供と遊んで、
女房と一緒に昼寝して、

夜になったら
友達とワインを飲んで、
友達とギターを
弾いているのさ。

旦那、
することが
いっぱいあって毎日、
結構忙しいんだよ。




旅行者は真面目な顔で
漁師に向かって
こう言った。




ハーバード.
ビジネス.スクールで
MBAを取得した
人間として
アドバイスしよう。


いいかい、
君はもっと長い時間、
漁をするべきだ。


それで余った魚は売る。
お金がたまったら
大きな漁船を買う。


そうすると漁獲高は上がり、
儲けも増える。


その儲けで漁船を2隻、
3隻と増やしていくんだ。

やがて大漁船団ができる。


そうしたら仲介人に
魚を売ることはやめだ。


事前の水産品加工工場を
建てて、そこに魚を入れる。


その頃には
君は、このちっぽけな
漁村を出て、
コスタリカの首都
サンホセに事務所を構える。


やがてロサンゼルスや
ニューヨークにも
進出できるだろう。


漁獲から加工、販売までを
統合して、
オフィスビルから
企業の指揮を取るんだ。




漁師は尋ねた。




旦那、そうなるまでに
どれくらいかかるんですか?



15年から20年くらいだな。




で、それからどうなるんで?



旅行者は笑って言った。



うん、
ここからが肝心なんだ。

時期が来たら上場する。

そして株を売る。

君は億万長者だ。




なるほど。   そうなると、
どうなるんで?



そうしたら
仕事から引退して、

海岸近くの
小さな村に住んで、

日が高くなるまで
ゆっくり寝て、

日中は釣りをしたり、
子供と遊んだり、
奥さんとお昼寝して
過ごして、

夜になったら
友達と一杯やって、

ギターを弾いて、
歌を歌って過ごすんだ。

どうだい。
素晴らしいだろう。










いやいや、一緒やろ!
みたいな。笑ってしまいましたが。



コスタリカの漁師と
アメリカのビジネスマンの
2人の違いは
現在に幸福を求めるか、
未来に幸福を求めるかの違い。


2つ目の違いは忙しさの違い。
文明が発達するにつれて
失われたのは
落ち着きのある生活。
慌てないでどっしりとした
暮らし、
地に足のついた生活のこと。



この話から
何を教訓として引き出すか?
それは節制と言う徳だそうです。


節制とは、
あくなき快楽を
追い求める
快楽の奴隷になること
ではなく、
快楽を自ら
コントロールする
快楽の主人で
いられるよう努める事だ。





と書いてあります。




個人によって、
幸せの感じ方も
追い求める幸せも
違うと思いますが、

人生の主人公は自分なので、
自分が満足して
納得できる生き方を
するのが1番なのでは
ないでしょうか❓

人は今あるものの中で
幸せになっていかなければ
いけないと思っているのですが・・・。



午後ホテルでお茶をしていたら、若いカップルが、隣に来て、お見合いをしていました。
耳👂が、ダンボになりました。



では。また⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎