能登半島にて一人暮らしをしている義母は、昨年の年末から都内の義姉の家に来ていました。そして、今年の正月の能登半島地震があり、そのまま家に帰れなくなっていました。

 

能登の家は震度7を記録した地区であるにもかかわらず、地盤が強いところだったのか、「屋根が損傷するくらいで、住むことができる状態である」と、地元の人から聞いていました。

 

4月になり、ようやく水道が復旧したので、旦那と義姉とともに義母が車で帰省しました。高齢ということもあり、これを機に義姉の家に住んでほしい、という子供たちの願いもむなしく、「能登の家に帰りたい、東京にはいたくない」との義母の希望があり、とりあえず一緒に旦那と義姉も帰り、家の片づけをすることになりました。

 

ところが、義母は家に帰る前に「ホームセンターによってくれ」というのです。義母は数年前から家の近所に畑を借りて野菜を育てているのですが、「畑にじゃがいもを植えたいから、種芋を買いたい」というのです。

 

地震により損傷した、築70年近く経つ自分の家を一刻も早く見たい、と思うのが普通かと思うのですが、先にじゃがいもを確保したいのだそうです。

 

そんなにも畑というのは人の心をとらえて離さない魅力があるのだなあ、と話を聞いたときはびっくりしました。

 

能登の家に帰ると、家の中のものはいろいろと落ちているけれど、近所の人が片付けておいてくれたこともあり(どうやって入ったのかは不明ですが、まあ田舎なので、鍵の場所を教えたのかも)何日か旦那が大工仕事をして、住める状態にしたそうです。そして、そのまま義母は一人暮らしを続けています。

 

その後、わたしも5月から本格的に市民農園を始めましたが、お義母さんの気持ちが、少しわかりました。自然は待ってくれませんからね。苗は買える時に確保し、植えるときに植えないと、だめですよね。

 

わたしの畑ではじゃがいもの苗を植えるのが5月と遅かったため、全滅のようです。