Spellbinders Paper Arts, a global leader in die-cutting, hot-foiling, letterpress, and crafting products, announced November 1, 2024 that it has acquired Hero Arts, a family-owned company that has been producing high-quality stamps, inks, and accessories for 50 years.

 

11月の一時帰国から戻ってきてからネットで見たのは...Spellbinders社がHero Arts社を買収したという,クラフト界においては超ビッグニュースだった。

 

Spellbinders社は,ダイカットを主戦力としている老舗のクラフト社。ホットフォイルやベタープレス(レタープレス)等,ダイカットマシンやスタンプと合わせた製品を次々に出している。ダサめのデザインや単なる写実的な形のダイが多いが,品質は非常に良い。パーツや色の組み合わせを工夫することで,洗練された作品になる。要は使い手次第だということ。

 

対するHero Arts も50年の歴史を誇るクラフト会社。最高品質のスタンプやインクを製造販売している。初めて受講したカードメイキングのクラスは,このメーカーの名前を冠したもので,店員さんにHero Artsって何ですかと尋ねたなぁ...。

 

クラフトメーカーのImpression Obsession社は,12月2日で26年間のビジネスに幕を下ろした。8月に30%offから始まったセールも,40%から50%offへと段階を経て,最後の2週間には全品70%offに。

 

このメーカーのダイカットがなかったら定期的にクラフトを教えることはなかった。私の作品のメインはImpression Obsessionのダイ。ただここ最近のデザインはイマイチだったので,しばし遠ざかっていた。最後のセールでたくさん購入したけれど,大きな喪失感がある。

人に勧めたりできない・紛失した場合に購入できないが,個人的に販売したり趣味として楽しむ分には,持っている道具や材料があれば十分。

 

SpellbindersはHouse Mouseのスタンプ(Stampabilities→Stampendousと移行)の販売も行っており,ダイカットとスタンプの最大手が一つになれば,独占化が進むのだろう...。

 

大型クラフトチェーン店JoAnn Fabricも破産申請(3/18)。

 

マルチ商法のStampin' UpやClose To My Heartが日本での事業を撤退したり,サクラクレパスのメモラビリアート(スクラップブッキング認定講師講座/2001年〜)が事業を閉鎖したり...。

 

メモラビリアートは,認定講師の受け皿として2017年に国際スクラップブッキング協会を選んだらしいが...講師の大反対に遭って断念し,しばらくは存続したようである。その後クラフト用品のオンライン販売のみは継続されていた。メールで問い合わせてみたところ,これも終了したということだった。

 

事業がなくなれば,そこで取った資格も泡と消える。お客さんが莫大なお金を出してそこのメーカーの資格を買ったり維持したりするシステムなので,他所では通用しない。「昔そんなのがあったんですか」と懐かしむ程度で,実力については推して知るべし。誰でも取れる資格って...資格と言えるのか?権威となるメーカーの後ろ盾が現存してこその資格であり,極めて日本的だと思う。アメリカにはそういう資格神話はない。


当然のことながら,会社は合併したり事業を撤退したり倒産したりする。大手銀行や自動車会社だって...。


趣味のクラフトにおいて影響されたり翻弄されたりしないためには,一社にあまり依存せず柔軟であることに尽きる。

 

結局,最後に残るのは自分自身。いい作品を作りたい,メーカーにこだわらず好きな道具や材料を使いたい,大事な人に贈りたい,趣味として作る時間を楽しみたい,そしてその延長として販売や教えることがあればと思う。