アメリカの学校も年度末が近づいて来た。
うちの夫は,仕事や学校(子どもの頃から)を病気やケガで休んだことがないという。私が知っているのは,身内の緊急事態で2日休んだだけで,自身の病休はゼロ。
イラクの高校を出て単身渡米し,大学を4つ出た夫が言うのは,「授業料を払っているのに,休むなんてもったいない。先生の言葉はひと言でも聞き逃したくない」。学生時代の勉強のノートは今でも取ってあり,楽しかったことや苦しかったことをよく話している。
10年ほど前の冬の土曜日,夫が風邪を引いて発熱した。日曜の夜になっても回復しなかったが,這ってでも出勤しそうな雰囲気...。行くと言うのなら行くのだろう,私は何も言わなかった。初の病休かと思っていたところ,大雪で勤務校の学校区と大学は月曜・火曜が休校になった。お陰で病欠ゼロをキープ。
確か250日以上(30数年分)の有給休暇日がたまったまま教職を退職した。有給で1年以上休めるくらい。年度が変わっても有給日は消滅せず蓄積されており,これは退職金に加算された(州の規定や上限はあるだろう)。
休めば代理の教員を入れることになり,人件費が別途かかる。休める・休んでいい・休むべき日に働いた分の賃金を支払ってもらうのは当然という考えなのだな...。
自身を思い起こせば,大学だけは休まずに4年間通学した。7時の汽車に乗って片道1時間半,往復で3時間以上。自分の意志で学ぶ大学は,本当に楽しかった!
日本の職場では有給休暇を大量に残しては消滅...ということを繰り返していたなぁ。繰り越せないなら期間中に休養なりに充てられる環境であるべきだが,教員という職業柄,病気でもなかなか休めなかった。
それにしても,有給休暇の買い取り,何ともアメリカ(州による)らしい制度...。
アメリカは保険料・医療費も高いし,病院(かかりつけ医は)は日本のように予約なしでは診てくれない。気をつけていても病気にはかかるし怪我もする。タバコを吸えば保険料も上がる。働いた年数が短ければ,国民年金(Social Security)や高齢者医療(Medicare)に影響。1960年以降に生まれた人の国民年金の満額受給は67歳からで,資金が枯渇すると言われているので,受給年齢は引き上げられるだろう。
健康管理は,金銭に直結している。
ブラックフライデーの暗い早朝に,店の外で何時間も待つ...風邪を引いたりして結果的に損するので,うちはそういうことはしない。スリやら事故とかに遭う確率も普段より高いんじゃないか。混雑した駐車場に車をやっとの思いで停め,長い行列に凍えながら並ぶ。ストレスは万病の元,Health is wealth!時は金也。
思い起こせば,日本で大雪の日には,私は何度か歩いて出勤した(坂道を1時間ちょっとの距離)。キャンピングカーを持っていた同僚は,小学校の駐車場に宿泊。日本では学校が台風で休校でも教職員は出勤しなければならないので,小さい子どもがいる家庭は本当に大変だと思う。
以前,中国人の友人が隣市でレストランを経営していた。他のレストランが閉まっているクリスマスと大晦日は手伝いに行ったものだ。他人は雇いたくないと言っていたが,その理由は「無断欠勤するから」というもの。信用できないのだ。病気や緊急事態ならともかく...休まずに来る,そういうのは当たり前ではないのかもしれない。
ニュースを見ると,日本の学校,公教育に対する考え方も大きく変わってきたようだ。休むなとは言えない時代なのだろう。いろんな理由があるとは思うが...勉強する喜びが味わえない・機会と利益を損失している・誰かに負担をかける,ひいては信頼を失う・それに気が付かない,もしくは気にしない...のは本人にとって残念なことである。
心身を健康に保つことは,SNSの普及などにより難しい世の中になってきている。続けてもあまり意味がないものもあるが,金銭も健康も...信用だって地道にコツコツと得られる。ハデさは要らない,自分自身のことに地味に集中するのがよい。