レタープレスというのは,文字や絵のインク線に沿ってできる紙のくぼみ(デボス/deboss/凹)のこと。エンボスは盛り上がった凸の部分で,エンボスの裏面がデボスになる。

 

昨年,Spellbinders社から出たBetter Pressというレタープレス機($79.99)。年末のお店でデモをやっていて,その繊細さに驚いた。

 

昔からこのレタープレスという技術はあったと聞くが,ペーパークラフトにおいては2012年のFuse Creativity System/Die cut&Letterpress in one pass(Fiskars社)以来の製品ではないか。当時クラフト店(JoAnn)でこの販売デモをやっていたので,体験させてもらった。


12インチ(約30センチ)幅の紙用で,ダイカット&レタープレスが一度にできるということだが...巨大なマシン。レタープレスプレートをダイカットの型(スカラップ円や花)にセットするのだが,このダイも大きい。


こちらはカエデの葉とパンフレット(2012-13年)。

巨大で見るからに重そうな器械は,棚から出し入れして使うのは大変。腰やら腕を痛めそう。かと言って,机に出しっぱなしにしておくスペースと使用頻度はない。確実に物置きになる。

ダイも分厚いし...何より,デザインが古臭く,魅力的ではなかった。子ども向けのようなざっくりとした線だが,年齢制限によって小さい子どもは使えないだろうし,そもそもおもちゃでもない。

プレスされた印面は確かにキレイではあるけれど,線は太く細い部分でも1mmはある。圧力がかかり過ぎて紙にはシワが寄り,切り口はぼそぼそ(薄い紙ではムリ)。パーツも大きく,この絵が好みであってもカードに使いにくいデザインだ。

ダイカットにも使えるのだが,大きい作品(スクラップブッキングや装飾)を作るから大きいダイカットマシンが必要...と考えるのは安易。普通の6インチ幅で十分である。大きな道具は付属品も大きく値段もそれなりで,何よりデザインがイマイチ。使用頻度も低いし,処分もできず(高価だし買う人がいるのか)...持っているだけで相当なストレスになると思う。

 

そもそもFiskars社というのは,ハサミやカッターを主な商品とし,ボーダーパンチ等もたくさん出していた。スタンプはHero Arts,ダイカットならSizzixかSpellbindersという時代(2012年より前)。Fiskarsはスタンプも出していたけれど...デザインはダサかった。

 

そのうち小型のキレイなラインのレタープレスが出るだろうと思って,店を出た。あれから10年以上も経ったのか。

 

Spellbindersのベタープレス機のいいところは,何と言っても手持ちのダイカットマシン(cuttlebugのような差し込み口が狭いものは除く)が使えるという点。分厚いダイも不要。ペン画のように線が細く,カードにそのまま使えるようにデザインされている。専用の厚めのコットン紙とインクを使うので,くっきりしたラインが美しい。光沢のある金銀は豪華だし,マットなインク色も渋くてキレイ。

左側の松葉の模様の繊細さ!これにフレーズ1つでカードが完成。着色しない方がオシャレに仕上がる。

12年で驚くほどの進化を遂げて登場したレタープレス機。Spellbinders製品なのでやや古めかしい絵もあるが,細密画のようなデザインや洗練された字体のフレーズも次々と出ている。

プレス機・プレス画・インク・紙...そろえるとなると,費用・場所・時間・必要度を考えるところから。

ゴールドで作るクリスマスカードはホントに豪華だけど,クリスマスカードは大量にある既製品を使うことにしたからなあ ...。

手持ちの(使っていない)スタンプやダイがまだたくさんあるし,もう少し値段が下がってデザインがたくさん出てからかと思い,また店を出た。