「日本のテレビ番組は,食べ物関係のものが非常に多い」と夫がよく言う。確かに。料理番組から健康,クイズにバラエティ,ビジネス,ドラマといろんなジャンルに渡って食べ物が出てくる。季節の食材に栄養,グルメ,時短料理,節約レシピと中身も幅広い。
日本人は食べ物の写真を撮ってネットに上げるし,おススメレストランの情報やネット販売,地域の特産品,と食べ物は会話の主役になる。料理上手な日本人ばかりで,食事をしながらでも他のおいしい食べ物の話題…!
昔,日本人の方に「~という食べ物を売っている店が~という遠い所にあって」という話をちらっとしたら,「おいしい食べ物のためならどこまででも行きます!」と。どこまでも!
ある友人はこう言うのだ。「子どもの頃,月に一回だけ親が回らないお寿司屋さんに連れて行ってくれた。店主に,『子どもの頃から本物の味を知っていると,大人になってからもおいしい物を食べるためにがんばって働こうと思うようになる』と言われた。両親に感謝している」と。回転寿司だけでなく,毎月握り寿司店にも連れて行ってもらえる家庭(子ども4人)というのもスゴイが…おいしい食べ物が働くモチベーションになるのかと…もう驚いた。そういうものか?
確かに,おいしい食べ物は満足感が得られるし,食は大事。しかし,おいしい食べ物のために働こうなんて一度も思ったことがないし,考えてもみなかった。夫に聞いてみたら,同様の答えが返ってきた。うちはタバコもお酒類も飲まないので,「この一本(一杯)のために今日も働いた」という感覚もないからか。
おいしい食べ物のためだけに遠出(車で片道30分以上とか)し,何万何千円も払うとか長時間並ぶとか…いずれもムリ。近所のレストランでも20分以上待ちと言われたら,あきらめる。あまりがっかりもしない。どんなに満足しても,5時間くらいすればまた空腹になるし…。
渡米当初は,友人とよく食べ歩きや持ち寄りパーティのようなことをしていたが,数か月で飽きた。
インフレで食料品も大幅に値上げされたが,うちの食費(2人分)は,外食やカフェ代も入れて月に約4万円($300)...それ以下じゃないかと思う。絶対に$350は越えない。コロナ禍の前は月に$200ほど(食事ボランティアも含む!)で,この地域の平均値より圧倒的に低いだろう。
レストラン(税金・チップ)・加工食品(~の素・たれ等の調味料・冷凍食品・ソーセージ類)・飲み物(酒類・ジュース類),そして高級スーパーが一気に食費を押し上げる。
自炊は節約や健康のためだけではなく,生きることの基本。シンプル(作るのも味付けも)で健康に良い食事であれば満足とする。食事ができること自体に感謝。
「凝った料理は要らない。限られた時間を知的で生産的なことに使え」と夫によく言われる。その分,クラフト道具・材料の購入については,「手作りカードやバッグを受け取ったこれだけの人々をハッピーにしている。クリエイティブなことだから」と,プレゼント同様制限はない。